MR.CARTER3 | CHRISオフィシャルブログ「New Tokyo」powered by アメブロ

MR.CARTER3

パート2からのつづき


 さらに、彼の成功を語る上で、もうひとつ無視出来ない事実は、WayneがリリースしてきたMIXTAPEと呼ばれる、ストリートレベルで自らの音楽を広めるためのプロモーショナルCDがあげられる。

 アメリカでは既に何年も前から定着しているこのMIXTAPE。多くのアーテイストは正式なアルバムとアルバムがリリースされる間の期間に、MIXTAPEを作製し、ストリートにばらまく。

 Lil’ Wayneはちまたで流行っている他のアーティストのBeatを借りて、その上に別バージョンの自分のRAPを入れて、スキルをみせることなど、(50Centもこれが非常にうまかった。)手法こそ他の多くのアーテイストと変わらずとも、多くのアーテイストがそうであるように、前作のアルバムから漏れた曲や、製作中の次作に入らない曲が中心というよりは、MIXTAPEそのものがアルバムになり得るほどの作品のクオリティで周囲を驚かせた。(Rolling Stone’s誌やXXL誌など複数の雑誌には、他のアーテイストたちの正式なアルバムたちと肩を並べて、2007年最も優秀なアルバムとして紹介されている。)

 要するにMIXTAPEがこんなにカッコ良かったら、それ以下のアルバムはあり得ないのである。自らハードルを常に挙げていた事実も彼の成長の要因だろう。





 ここまで来て思うことは、The Carter 3の成功は約束されていたのかもしれない、ということだ。Lollipopが公開された時点で人々はアルバムとして最高のもの以外期待はしなくなったであろうし、アルバムが売れるか??という話から、アルバムは歴史に刻まれるクラシックか??という論議に移っていた。当の本人が完全無欠のもの以外世に出すつもりはないとかなり前から公言していたのも、今までに触れてきた事柄をふまえると、”当然”なのかもしれない。クラッシックであって当然。何人のRAPPERが、今も昔もその期待に、そのプレッシャーに応えることが出来ただろうか。


 Lil’ Wayneのようにキャリアの中で徐々に地位を高めてきたRAPPERは珍しい。BESTであるか否かの論議に参加出来るRAPPERの多くはデビュー前からその可能性を騒がれ、デビューとともにある程度のスターダムと、第一線に肩を並べる様な評価をえる。一方Wayneは、たとえデビューから一気にあがってきた訳でなくとも、USのMTVで最も”HOT”なMCとの評価を得るまで昇ってきた。“HOT”と”BEST”は必ずしもイコールではないが、彼が今BEST MCであることはなかなか否定出来るものではない。その理由は、今まで述べてきた通りだ。

 さらに、最後に付け加える重要な要因は、冒頭部分で軽く触れたがRAPというものに対してのUSリスナーの姿勢だ。どんなにカッッコ良かったものでも、数年後に飽きてしまえば評価も下がる。(Who is Mike Jones?というか、Where is Mike Jones?)逆にWayneのようにあまり評価が高くないところからスタートしたとしても、アーテイストとしての成長をコンスタントにみせ、人々を唸らすものを次々と送り出すことで、キングの位置にまで昇ることが出来る。

 人がなんと言おうと、良いものは、イイ。そう言える土壌がさらに音楽のクオリティを高め文化を成熟させている。これは、日本のどのシーンも見習わなければならない重要な点であるとも思える。




 想像して欲しい、年取った薄汚いシワだらけの魔女が煮立つ鍋に、
Crazyなflow、ドレッドヘアー、的確なdelivery、全身のTattoo、巧みなWord Playと比喩表現、ケツまで下がったドルガバのJeans、特徴ある声、Mad Lyricsに、ニューオーリーンズのやんちゃだった小僧を入れて、人々の声というスパイスを加えたら、、、、

 The Best Rapper Alive(Lil’ Wayne)の出来上がりだ。

 Holla!!!!


CHRIS