母の三回忌の日。

 親戚一同が母のために集まってくれる日です。

 

 しかし、妹一家から、10歳の甥が少年野球の試合(トーナメント決勝戦)に出場するので、遅れて参加するとの連絡が。



 三回忌のその日は、偶然に私の誕生日でもありました。

 

 なので、私は、その甥に、

 

  「私の誕生日だから、絶対に優勝してから来て」

 

 と伝えました。



 当日、三回忌が始まる前。


 待合室で親戚とお茶を飲んでいると、軽快に階段を駆け上がってくる音が。


 「○○くん、優勝したよ」 


 (ちなみに○○は私のことかお。「おじさん」ではありません)


 彼は、スカイブルーのユニフォームを着たまま、三回忌の会場にやってきました。


 彼の首には、優勝メダルが掛けられています。

 

 「良かったなあビックリマーク良かったなあビックリマーク


 私は、何度も彼に言いました。



 しかし、本当に良かったのは、彼の喜ぶ姿を見ることができた私。

 今までにない形の誕生日プレゼントをもらった私。



 三回忌が始まり、親戚全員が着席すると、会場は黒一色のどんよりとした景色に。

 そして、その中の一点の隙間からは綺麗な青空が。


 

 その日、私は、苦手なブラック珈琲を飲まなくて済みました。

 

 私は、好きだった甘い珈琲を久しぶりに飲むことができました。