

Q ACOUSTICS 3050iというフロアスタンディング・スピーカー(昭和時代はトールボーイなんて呼んでる人もいた)を購入したのが2023年3月。
かれこれ一年半が経過し、最後のレビューからも1年以上が経過した。
感想は変わらないのだけれど、気づいたことというか、確信評価版記事になります。
まず、基本的にはヴィジュアル再生用途で使用される想定のフロアスタンディングをオーディオに流用する不安があったのですが、
これは杞憂に終わりました。
映像作品の音声も音楽も、実に綺麗に鳴らしてくれます。
ペア9万円ちょいという価格にしては…、というのではなく、十分なレベルのハイファイです。

B&W CM1S2を別のシステムとして組んでいますが、
小音量でのバランスと低音の重厚さ、および高音の精細さではB&Wが圧倒的。
暖かく若干ゆるい音が特徴的なレコード盤を鳴らすなら、こちらの方が幸せでしょう。
特に、大音量厳禁な賃貸マンションならば迷わずB&W。小音量でも音が痩せません。
ただ、B&Wはあまりに表現が精細すぎて、CDなどのデジタル音源がデジタルらしく聞こえてしまうのが欠点。
若干トゥーマッチなのです。

対してQ Acoustics 3050iは、ツイーターが金属ではないためか、高音域の精細さに欠けます。
B&Wのような太い低音も出てきません。
が、しかしです。
AV用途のためか音声域の中音が素晴らしくクリアで、ヴォーカルがB&Wよりはるかに浮き立って聴こえます。
さらに、いわゆるサウンドステージってやつが広く、音像が心地よいのです。
ヘッドフォンで聴く感覚の真逆、狭い部屋なのに屋外やホールにいるような感覚に近づく感じです。
表現が下手ですいません。
低音は若干ゆるくてB&Wのようなキレは感じられないのですが、
かと言ってBeatsのヘッドフォンのようにボワついたり、かつてのJBLのようなカサカサした軽さとは無縁。
まさに、「程よい」という感じです。
圧倒的なハイファイなサウンドって、CDなどのデジタル音源だと身体疲れてしまいます。
Q Acoustics 3050iは、そのあたりが程よくバランスされている印象です。
価格も程よい!
というわけで、「超Hi-Fi」を求める求道者に薦められるスピーカーではありません。
が、普通の人が「超Hi-Fi高級スピーカー」とこの「程よいスピーカー」を「普通のルーム環境」で聴き比べたら、
おそらく「程よいスピーカー」Q Acoustics 3050iの方を「良い音」「好きなサウンド」として選ぶのではないでしょうか?
ブラインドテストって、怖いですよね。
で、そういう結果が出ると「ツウ」は判で押したように、「オレには分かった!」と答えてきます。
そこに間違いはありません。
ただし「ツウ」が「良い音」だと感じている音が一般的には必ずしも「良い音」ではないんですよね。
これも、間違いのない事実です。
というわけで、Q Acoustics 3050iは私にとって究極のスピーカーであり続けています。
ただし、最高のサウンドを楽しめるのは、ピークレベルで65dB(デシベル)以上の音量の場合に限ります。
賃貸用マンションやアパートでなければ、日中には問題にならない音量でしょう。
が、夜中に綺麗なバランスでサウンド楽しみたいならば、他のスピーカーが選択肢になってくると思います。
もし新品スピーカーで基本的には小音量環境想定であれば、もっと安価でバランスの良いスピーカーが山ほどあります。
現時点では「Elac B5.2 Debut 2.0」をおすすめしておきます。
でも私の場合、深夜はBOSE 111ADを鳴らすことが多いというのが実情です。
(低音が近隣に響かないってのが肝心要素)
おそらく、これがQ Acoustics 3050iへの最後のレビューになる気がします。
当面、愛用し続けること確定です!
