

これは、The Cureの最新アルバム「4:13 DREAM」、発売は2008年。
そう、丸16年も新作を発表していないバンドだ。
といって、解散して消滅したバンドではない。
時折世界ツアーをしていて、いまだいろんなアーティストとコラボもしている生きているバンドだ。
僕が彼らをモンスター・バンドだと思うのは、
駄作を重ねて集金をするという愚行に走らない点。
新作を出せば、私のような子供時代から彼らのアルバムをコレクションしてきた老年層は必ず購入する。
世界規模で考えたら、ものすごい売り上げになるだろう。
が、彼らは沈黙を保つ。
きっと、本人たちが一番わかっているのだ…
この最新作「4:13 DREAM」が、ファンの期待を越えられなかったことを。
あえて言おう、「駄作」だと…
普通のバンドがこのアルバムを作ったのならば、傑作なのかもしれない。
が、THE CUREがこのレベルでは許されないのである。
実は、2004年に出したこの一つ前のアルバム「THE CURE」も駄作だった。
私は、全く心が動かされなかった。
1979年のデビューアルバム以来、初となる非の打ちどころのない大駄作だった。
が、この作品はなぜかアメリカで受けた。売れた。
本国イギリスや古いファンからの冷ややかな反応をよそに、アメリカではヒットした。
このあたりで、メンバーは嫌気がさしたのではないかと勝手に推測している。
新作をリリースするのであれば、ちゃんとクオリティを保たねばならないという芸術的使命感。
私はThe Cureにはその意地があるんだろうと、思い込んでいる。
だって、嫌いなのだ。
「ビッグ・ネーム」とか「モンスター・バンド」と呼ばれ最盛期を越えた後も、次々とアーティスト・バリューを下げる新作アルバムを平気でリリースするバンド。
で、そんな駄作に対しても「傑作だ」「最高だ」と盲目的な評価をするファンも…
OASISは1997年の「Be Here Now」でダメになり、その後2008年までの11年間駄作を重ねる醜態を晒して解散した。
私はOASISが大好きだったし今も好きだが、滅び方がロックじゃなかった。冷静に、そう思う。
そんな中、駄作を2作リリースした後に、新作を出さずに活動を続け、
アーティスト価値を下げずに人気とリスペクトを維持し続けるTHE CUREこそ、本当のモンスター・バンドだと思える。
歌詞が違うだけで似たような曲を何十年も量産し続ける日本のバンドとか、
まぁそれはそれで良いのだけれど、私の中で「ロックだ」「かっこいい」という評価には絶対にならない。
ロックは、かっっこよくあり続けなければならない。
それを体現し続ける数少ないバンドがThe Cure。
リスペクトなんてものではないのである。