本のご紹介です。
「ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法」富田恵一(2014)
以前にご紹介した細馬宏通氏の「うたのしくみ増補完全版」という本の中に「The Nightfly」という1章があり、そこで紹介されていたのがこの本です。
「The Nightfly」というのはドナルド・フェイゲンの最高傑作アルバムです。
私のロック遍歴はほとんど70年代で終わっていて、80年代にはあまり魅力的なアーティストがいないのですが、1982年に発表されたこのアルバムは例外中の例外です。
このアルバムを聴いてからスティーリー・ダンを遡って聴くようになりました。
細馬さんは、このアルバムの中のタイトル曲1曲だけを取り上げているのですが、富田さんは、アルバム全曲について、「ここまでやるか?!」というくらいに分析的に書いています。
「本が書けるほど」とはまさにこのことです。
細馬さんは「聴く側」の視点で(かなりユニークな視点ではありますが)、一方の富田さんは「作る側」の視点で分析しています。
私には今までよくわからなかった音楽プロデューサーの仕事というのがどういうものなのかが垣間見える内容です。
それにしても細かい!
いや、そもそもドナルド・フェイゲンの仕事が細かい!
現代のポップミュージックはここまでやって作っているのか?
(日進月歩のテクノロジーの進化からすると、1982年というのはすでに大昔かもしれませんが)
ちなみに主要な参加ミュージシャンを挙げておきましょう。
Electric piano: Greg Phillinganes
Guitar: Hugh McCracken
Drums: James Gadson
Additional drums: Jeff Porcaro
Bass: Anthony Jackson
Trumpet: Randy Brecker
Alto sax: Dave Tofani
Tenor sax: Michael Brecker
Baritone sax: Ronnie Cuber
Trombone: Dave Bargeron
Lead guitar: Larry Carlton
Guitars: Dean Parks, Rick Derringer
Bass: Chuck Rainey
Piano: Michael Omartian
Bass: Marcus Miller
Flugelhorn: Randy Brecker
Bass: Abraham Laboriel
Guitars: Hugh McCracken, Rick Derringer
Drums: Jeff Porcaro
Bass: Marcus Miller
uitar: Dean Parks
Acoustic guitar: Steve Khan
Drums: Steve Jordan
Bass: Will Lee
これだけの錚々たるスタジオミュージシャンを呼び集め、その演奏を細切れにして、加工して、つないでいって一つの音を作る。
そうすると、結果として、ああいう素敵な音楽が出来る。
この本を読みながら、私も聴きなおしてみたのですが、とてもついていけませんでした。
うーん、「作る側」じゃなくて良かった・・・
ここまで細かいことはわからなくても、「すごく良い」ことはわかります。
聴いて、楽しむだけで十分。
Youtubeで全曲聴けます。
ここでは表題曲の「The Nightfly」をお聴きください。
なんともオシャレです。