Amzon Prime でたまたま見つけた映画「パリに見出されたピアニスト」を観ました。

フランス映画のタイトルの邦訳はなんともセンスの無いものが多いですが、これもあまりパッとしません。

原題は「Au Bout des Doigts」。 boutというのは端っこ、doigtは指。直訳すると「指の先で」みたいな感じでしょうか。もちろん指は複数。

たしかに、これを映画の題に訳すのは難しい。

英語では、「In Your Hands」。これもイマイチ。

 

映画の中身のほうは・・・

最近流行りの「ストリートピアノ」というのでしょうか、パリ北駅に置いてあるピアノを弾いている青年が突然警官に追いかけられるシーンから始まります。

 

貧しい家庭に育ったマチューはピアノの才能はあるものの、仲間と盗みを働いて生活しているような男。しかし、彼の演奏を聞いた国立音楽院のディレクターは、そこに才能を見出し、無理やり音楽院に入れて周囲の反対を押し切ってコンクールに出場させてしまう、というストーリー。

 

地元の友達は悪の道に再び引き入れようとするし、学校では黒人のチェリストの女の子と恋に落ち、練習し過ぎで腱鞘炎になってしまいコンクール直前で弾けなくなってしまったり、コンクール当日に弟が事故に遭ってしまって、コンクールの自分の出場時間に間に合いそうになかったり・・・という、まあ言ってみればお決まりのストーリー展開ですが、それなりにワクワクドキドキしてしまいます。

 

音楽ディレクターのピエール役ランベール・ウイルソンとピアノ教師のエリザベス役クリスティン・スコット・トーマスがいいですね。

 

私のお気に入りシーンは、マチューが昔のエリザベスのコンクール出場の時の映像を見て尋ねるシーン。

「優勝した?」

「いいえ」「なぜかわかる?」

「いや」

「気持ちが入ってないから」「同じ過ちを犯さないで」

 

学院生からは鬼のように恐れられているエリザベス先生ですが、音楽に対する真摯な姿勢が伝わってきます。

 

コンクールの演奏の直前、エリザベスがマチューを呼び止めるシーン。

「マチュー 待って」

「忘れないで」

「感情を正直に深く」

 

最後はめでたくハッピーエンド。

 

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の背景についてもエリザベス先生に教えてもらいました。

1897年に初演された交響曲第1番が酷評されて落ち込んでいたラフマニノフがどん底から復活する中で作られたのがこの協奏曲第2番だとか。