本のご紹介です。
「鳥が僕らは祈り、」島口大樹
今までこのブログで紹介してきた本は音楽に関わりのあるものばかりだったのですが、この本のストーリーは音楽とはまったく関係ありません。
ただ、読んでいくと、音楽を感じることができる美しい小説です。連想したのは川上未映子。彼女の文はキース・ジャレットの全編インプロビゼーションみたいな音楽を感じますが、島口大樹の文はもっと緻密な狭間美帆のオーケストレーションのようです。
(実際には、川上未映子もものすごい推敲を重ねて書いているんだろうとは思いますが・・・)
実は、著者とは個人的に(ほんの)ちょっと関わりがあり、普通だったらスルーするジャンルの本だったのですが、読んでみることにしました。
22歳で書いたこのデビュー作で「群像新人文学賞」を受賞しています。
読んで良かった!
大ちゃん、すごいの書いたね!
あらすじや評価については、AMAZONとか講談社BOOK倶楽部とかを御覧ください。
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私がいちばん感心したのは〈一人称内多元視点〉と呼ぶべき視点のつくり方だった。これは文学的に有意義な試みだと思う。――松浦理英子
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だそうです。
ここで「有意義な試み」と言っていますが、「試み」だとか「実験」だとかの域を超えて成功しているのではないでしょうか。
4人の高校生達の行きつ戻りつする世界に、65歳の私でも入り込ませてくれる力があります。
ストーリー自体はとても重たいものですが、「光」を感じさせてくれるのは著者自身に「光」があるからでしょうね、
今後の期待大です!