ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」
私の大好きな曲の一つです。
評判の高かった小澤征爾とウイーンフィル(1991年のほう)のCDを買って聴いたのですが、ちょっと期待はずれ。演奏そのものよりライヴのせいか録音があまり良くありません。
ただ、カップリングで入っている序曲「自然の中で」と交響詩「真昼の魔女」はどちらも初めて聴く曲でしたが録音も良いし、素晴らしい演奏でした。
「新世界より」のように何度も聴いている曲の場合、過去に聴いた演奏が頭に刷り込まれていたり、逆に自分の頭の中で自分が指揮者になったつもりで勝手にイメージを作り上げている場合があります。
ベートーベンの5番「運命」なんて、最初の「ジャジャジャジャーン」を「ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン」とやるか「ジャァジャァジャァジャァーン」とやるかだけで、この後聴く気を失くしたりします。
じゃあ、自分に一番あった「新世界より」はどれなんだろう?
というわけで、図書館からごっそり借りてきました。
今までに聴いたのが次の4枚です。
・ヘルヴェルトフォンカラヤン ウィーン・フィル
・小澤征爾 ウィーン・フィル
・クリストフ・フォン・ドホナニー クリーブランド管
・佐渡裕 ベルリン・ドイツ響
この中では今のところドホナニーがチャンピオンです。
更に次の9枚を借りて合計13枚聴き比べをしてみました。
頭につけたA,B,Cは大雑把な評価です。
このレベルの演奏ですから評論家のように「良し悪し」を云々できる耳を私は持っていません。
判断基準はあくまで「好き嫌い」。
例えば、冒頭に出てくる(たぶん)ホルンの「パパーン」と響くところ。これなんか「運命」と同じで軽く「パパーン」とやるか「パン・パーーン」とやるかで好みが分かれます。私はわりとたっぷり吹いてもらうのが好みです。
結果はというと・・・
いや、優劣をつけることよりも、こうやっていろいろな演奏を続けて聴いてみるっていうのはオススメです。結局、全楽章最後まで聴いたのは4枚しかなかったのですが、それぞれ個性があって面白かったです。
A クラウディオ・アバド ベルリン・フィル
若々しくて私のイメージにぴったり。
B カレル・アンチェル チェコ・フィル
速い 軽い。好みに合わず。
B 小林研一郎 チェコ・フィル
出だしの弦の響きが良い。その後、アンバランスになった感じ。
C ズデニク・コシュラー チェコ国立
フルート、いきなりミスった?
B レナード・バーンスタイン イスラエル・フィル
かなりゆっくりの入り。 ゆっくり過ぎてついていけない。演奏そのものというより聴くほうの私が破綻。
B ムスティラフ・ロストロポーヴィチ ロンドン・フィル
バーンスタインよりもっと遅い。しかし遅い理由があるのを感じさせる演奏。残念なのは弦の音がこもる、細い。それに対して管が素晴らしい! 遅すぎた反動で第3楽章で疲れてきちゃった?
A ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィル
このコンビは何回も録音してるでしょうから念の為書いておくと1993年録音です。
オーソドックスなドヴォルザーク。この弦にロンドンの管が付いたら最高!
B リボル・ペシェク チェコ国立
いい感じです。ただ、弦と管のコンビネーションがちょっと気に入らない。特に金管がついていけなくなる? いや、この指揮者のクセ?
A ジョージ・セル クリーブランド管
オーソドックスな演奏。第1楽章は速めですが、緩急がしっかりあって私好み。
録音がちょっと良くないのが残念。
カップリングの「モルダウ」がまた素敵。
同じ曲を意識的にこんなに聴き比べたのは初めてですが、予想以上に面白かったです。かなり表層的な好き嫌いでの判断です。
「作曲家の意図」だとか、「ここでこういう弾き方をするのはどういう解釈に基づいて・・・」だとかのより深い音楽的知識や洞察力があれば、また違った評価になるのかもしれませんが、今のところ、そこまで勉強する気はないです。
それから、各CDのカップリングが面白いですね。
まあ、よくあるのはチェコつながりで「モルダウ」。
でも、私のような薄っぺらなクラシックファンはドヴォルザークは第9番しか知らないですよね。
第8番も聴いてみるとすごく良い!
更に小澤征爾の「自然の中で」と「真昼の魔女」はうれしい新発見でした。
ドヴォルザークの他の曲ももっと聴いてみたくなりました。
最後にアルバム・ジャケットについて。
どうして、クラシックのアルバムジャケットはどれも似たりよったりでつまらないのでしょう。
そんな中で、ペシェクのジャケットが楽しかったので、最後に載せておきます。