本のご紹介です。

「上原ひろみ サマーレインの彼方」(2005)

文:神館和典 写真:白土恭子

 

2005年のほぼ1年間、上原ひろみを追いかけた本です。

彼女のデビューをいつにするかというのは異論があるかもしれませんが、CDリリースをデビュとするならば2003年。わずか2年後にこういう本が出てしまうほどの「大スター誕生」だったわけです。

このときまでにアルバムは3枚。しかもとんでもない枚数を売り上げていて、すでにライブで世界中を飛び回っています。

 

16年も前の話です。

 

文章も写真も一流というにはほど遠いですが、まあ取材対象が超超超一流ですから、十分彼女の魅力は伝わってきます。

 

彼女の子供のときのエピソード、高校時代のエピソード、そしてプロになってからのエピソード。どれもとっても音楽家というより、格闘技の選手の一試合一試合を見ているような戦いぶりです。

 

このエネルギーが、ステージでは100%ピアノの音に乗り移って私達の心にまで届くのでしょうね。

 

本日の名盤

上原ひろみ「Spiral」(2005)

01 Spiral
02 Music for Three-Piece-Orchestra- Open Door-Tuning-Prologue
03 Music for Three-Piece-Orchestra- Déja Vu
04 Music for Three-Piece-Orchestra- Reverse
05 Music for Three-Piece-Orchestra- Edge
06 Old Castle, By the River, In the Middle of a Forest
07 Love and Laughter
08 Return of the Kung-Fu Champion
09 Big Chill

 

私は、2011年からのトリオプロジェクト(ベース:アンソニー・ジャクソン、ドラムス:サイモン・フィリップス)が一番好きなのですが、ここはこの本に敬意を表して最初のトリオ(ベース:トニー・グレイ、ドラムス:マーティン・バリホラ)の3枚目のアルバムにしましょう。

 

久しぶりに聴いてみると、更に成長した今の彼女と比べてしまうので物足りなさを感じます。あの頃は度肝を抜かれていたのですが、リスナーはわがままなもので、一度その高みにつれて行かれると、「もっと高く、もっと高く」と贅沢な要求をしてしまいます。

 

まだまだ彼女はそれに答えてくれると信じていますが・・・