本のご紹介です。

 

「目の見えないアスリートの身体論」(2016)

著者:伊藤亜紗

目次

■ まえがき
■ 第1章 視覚なしのスポーツを見る方法
■ 第2章 ブラインドサッカー 落合啓士選手・加藤健人選手の場合
■ 第3章 競泳 木村敬一選手の場合
■ 第4章 陸上競技 高田千明選手の場合
■ 第5章 ゴールボール 安達阿記子選手の場合
■ おわりに
 

「見えないスポーツ図鑑」(2020)
著者:伊藤亜紗、渡邊淳司、林阿希子

目次

はじめにーー伊藤亜紗
第1章:ラグビーを翻訳するーー古川拓生
第2章:アーチェリーを翻訳するーー高井秀明
第3章:体操を翻訳するーー水島宏一
第4章:卓球を翻訳するーー吉田和人
第5章:テニスを翻訳するーー遠藤 愛
第6章:セーリングを翻訳するーー久保田秀明
第7章:フェンシングを翻訳するーー千田健太
第8章:柔道を翻訳するーー石井孝法
第9章:サッカーを翻訳するーー堀野博幸
第10章:野球を翻訳するーー福田岳洋
おうちで翻訳
おわりにーー渡邊淳司
あとがきーー林阿希子
 

直接、音楽のことを語っている本ではないですが、音楽にも通じるところの多い面白い本です。

1冊目の「目の見えないアスリートの身体論」は目の見えない人がどのようにスポーツをとらえているのかを日本のトップレベルのアスリートとの対談で明らかにしていこうという本です。私はブラインドサッカーのファンで何度も試合を見に行っているので、彼らのパフォーマンスにはいつも驚かされます。目が見えない人たちがどうやってあそこまでのレベルに達するのか興味があり、読んでみました。

 

2冊目の「見えないスポーツ図鑑」は、逆に目の見えない人にスポーツをどうやって伝えるか、という本です。ここで出てくる「伝えるための」方法のアイデアが実に楽しい! それは「実況中継」を越えてどうやって「体感するか」という方向に向かっていきます。

実は、目が見えている人も「見えていなかった」新しい視点でのスポーツの感じ方があります。

これはめちゃくちゃおもしろい発想です。

 

パラスポーツというと、どうしてもそのスポーツそのものの魅力よりも選手のバックグラウンドやストーリーに目が向きがちですが、もっとそのスポーツそのもの、選手のパフォーマンスそのものに目を向けるべきだと私は思うのです。

 

この2冊の著者は、その視点が明確で気持ち良い。「障害者」を「障がい者」と書き換えるなんていうくだらないことに注意を払うよりも、もっと本質的なものに目を向けるべきだと思うのですよ。

 

音楽の世界でもストーリー優先の報道に引っ張られて本質を見失う危険があります。

何年か前の佐村河内守のゴーストライター事件はその典型的な例ですね。

 

目が見えていても見えていなくても、素晴らしいミュージシャンもいれば、たいしたことないミュージシャンもいます。

 

辻井伸行というピアニストがいます。彼のストーリーは感動的ですが、彼の音楽そのものは私の好みにはあまり合いません。聞こえてくる音が好きか嫌いか、というだけの判断基準です。

 

ただ、クラシックの場合、まず「楽譜」ありき。そこを盲目の彼はどうやって対処しているのかは興味があります。誰かが演奏したものを聴いて覚えるのでしょうが、そのときその演奏した音楽に引っ張られてしまわないのだろうか?

(MuseScoreみたいなソフトで自動演奏させる手もあるかな?)

 

目が見えない人は、日常生活では大きなハンデを負っていても、音に対する感覚ははるかにすぐれているかもしれません。

最終的にプラスとなるのかマイナスとなるのか、それは本人の才能と努力次第。

 

本日の名盤

ホセ・フェリシアーノ「The Best Of Jose Feliciano」

01 Light My Fire
02 Hi-Heel Sneakers
03 Hitchcock Railway
04 Manha De Carnaval
05 The Star-Spanglled Banner
06 I Got A Woman
07 Hey! Baby
08 My World Is Empty Without You
09 California Dreamin'
10 And I Love Her
11 Sunny
12 The Last Thing On My Mind
13 Marley Purt Drive
14 Rain
15 Hey Jude
16 Destiny
17 Susie-Q
18 Pegao
19 Che Sara'
20 Chico And The Man (Main Theme)