アンビエントミュージックを好んで聴くようになって長い。
僕にとっての究極のアンビエントミュージックを探求すると
逆説的ではあるけど、それは俗に言われる“音楽”とはどんどん離れていくような気がします。
それは、普段の生活の中にある“音”そのものになってしまうからです。

例えば、ホテルに宿泊したときの朝食時に感じる音風景は、とてもアンビエント的で好きです。

幾分けだるい中で、周囲の人に気を配り、小さな声で喋る声。
フォークとナイフが、皿に触れる微かに甲高い音。
入室、退室をする人々がドアを開けるたびに聞こえる風の音。

それは、巷に溢れる音楽よりも、よほど音楽的だと感じるのです。

知り合いの写真家さんが、イタリアに滞在中、急な雨に降られて教会で雨宿りをしたそうです。
そこで見る光景がとてもきれいだったので、手持ちの携帯電話で録画したそうです。
携帯電話に付帯した機能ですから、ハイビジョンカメラで撮影された映像のようにはいかなったようですが
地面に叩きつけられる雨の映像は、まるで抽象画のように美しく
その音は、まさしくアンビエントミュージックでした。

アートに触れ、感じるということは
ときにこういった日常をいかに切り取る感覚を大切にしているかどうかだと思います。
何も見えず、何も聞こえなくなったとき、僕はゆっくり休むようにしています。

今は、休まずに動き続けたい身体が訴えてくる・・・そんな時期です。
やるぜ。