イトオテルミー療法 (ミロクの世の医療) | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

*イトオテルミーとは、伊藤金逸医学博士(1883~1969)によって1929年に発明された民間療法の一種で、からだにぬくもりと刺激を与えることで、自然治癒力に働きかけ、病気の予防、疲労回復、健康増進を図る、つまり温熱により皮膚を刺激することで、病気を身体内部から治そうとする治療法です。テルミー線という艾(モグサ)に数種類の薬草を混ぜて棒状に固めたものを、冷温器という名称の金属製の二本の筒に入れ、先端に火をつけてキャップをかぶせ、全身あるいは身体の各部分を摩擦します。灸とリンパマッサージをミックスしたようなものと言えるかもしれませんが、熱さを調整でき、灸痕も残りませんし、やり方も簡単で背中以外であればセルフで行うことが出来ます。

 

*伊藤金逸博士は、もともと帝国大学で近代医療の教育を受けた医師でしたが、熱心な観世音菩薩の信者でもありました。当時の最新の医療技術でも治らない病気に苦しむ患者さんたちを救うため、治療法を求めて観世音菩薩の導きを乞い、93日間の断食を行って、その断食行で受けた啓示をもとにイトオテルミー療法を創始されました。とはいえ、現在のイトオテルミーの実際の治療現場においては宗教色はまったくなく、純粋な治療法として行われています。また、医師法や薬事法などに違反することの無いよう、他者への施術は、イトオテルミー学院が定めたカリキュラムを終了し、資格者として認定された施術者にのみ認められています。

 

 “「小宇宙といわれる人間は、太陽と地球の相関によって誕生し、常に外界宇宙の刺激界にあって、大小不同、千差万別の刺激を取捨按排し、調整して環境に適応している。ヒポクラテスの言葉にあるように、神によって享けた生の病は、神すなわち自然のはたらきによって治されるのである。人体の皮膚こそ、外界宇宙の大小有害無害の区別を不断の努力をもって判別する保護機関である(金逸の要旨)」

 

 “体表をなでるように刺激する医療器の考案に苦心惨憺する金逸を助けたのは仏壇の香爐鉢でした。勤行する眼前に香爐が紫煙を揺らがせながら、すくすくと背を伸ばして医療器の実相を示唆したのです。この不思議な宗教体験の感動を金逸は和歌に託しました。

 

    御仏のたすけとぞおもう耀きの 香爐鉢はもかたち変えたる

 

 その年の夏、夜空に舞う蛍の光にヒントを得て、医療器は冷温器と名づけられました。人間が冷温に対してもっている物理的、感覚的な差異を強調してつけられた名称です。

 

 私たちの身体を構成する60兆個の細胞は、その生命現象の発露として代謝・増殖・被刺激性・興奮性などの特性をもち、これらの特性を発揮させる有力な刺激は熱エネルギーであると考察した金逸は、温熱刺激こそ細胞を賦活する栄養刺激であると推断しました。

 冷温器に内蔵する熱源用に、自然界から7種の物質を選別した金逸は、その調整に心血を注ぎました。棒状熱源の柱火は、冷温器の通気孔と先端細孔から光線・熱線として生体内に移動して作用するときは、化学的熱エネルギーに変化して人体内を流動する栄養温となり、細胞の生活機転を喚起するのであると論をすすめました。”

 

(「イトオテルミー療法誕生80周年記念誌『創見物語 伊藤金逸伝』」より)

 

*戦後、出口王仁三郎聖師は、

 

 「鍼灸医術は火と水の御守護による療法、ゆえに万病(まんびょう)を治すことができる。金属はその(せい)水故に金性(きんじょう)(すい)といい、三尺の秋水とか氷の如き(やいば)と形容する。汚血を(しゃ)し清血を()して病を治す法、故に補瀉迎随(ほしゃげいずい)の法ともいう。」

 

と言われています。また、

 

 「火と水の医術である鍼灸はミロクの世の医療である」

 

と言われたとも伝えられています。火とはもちろん「灸」のことで、水というのは、陰陽五行の相生説では「金は水を生ず」ので、金属製の「鍼」のことを指します。とはいえ、通常の鍼灸の治療では、鍼か灸のどちらかだけが単独で施術されることが多いようです。出口聖師が、イトオテルミーについて何か言及されていたわけではありませんが(イトオテルミー療法が全国に普及するようになったのは戦後になってから)、「火と水の医術」ということであれば、火をつけたテルミー線と金属製の冷温器を一体として使用するイトオテルミーもまた、鍼灸と同じように、「ミロクの世の医療」とみなして差し支えないと思います。さらに、太陽の熱循環を生命の基本原理とする考え方は、黒住教の黒住宗忠教祖神の教えとも通じるものがあり、まさに太陽をシンボルとする神国日本にふさわしい医療だと思います。

 

 

・黒住教、黒住宗忠教祖神の教え 「道の(ことわり)

 

 「凡(およ)そ天地の間に万物生々する其の元は皆天照太神(あまてらすおおみかみ)なり。是れ万物の親神にて、その御陽気天地に遍満(みちわた)り、一切万物、光明温暖(ひかりあたたまり)の中に生々養育せられて息(や)む時なし。実に有難き事なり。

 各々体中に暖気(あたたまり)の有るは、日神(ひのかみ)より受けて具えたる心なり。心はこごると云う義にて、日神の御陽気が凝結(こりこご)りて心と成るなり。人慾を去り、正直に明かなれば、日神と同じ心なり。心は主人なり、形は家来なり。悟れば心が身を使い、迷えば身が心を使う。

 形の事を忘れ、日神の日々の御心に任せ、見るも聞くも一一味わい昼夜有難い嬉しいとに心を寄せ、御陽気をいただいて下腹に納め、天地と共に気を養い、面白く楽しく、心にたるみ無きように、一心が活きると人も生きるなり。生きるが大神の道、面白きが大神の御心なり。教えは天より起こり、道は自然と天より顕るるなり。

 誠を取外(とりはず)すな。天に任せよ。我を離れよ。陽気になれ。活物(いきもの)をつかまえよ。古(いにしえ)の心も形なし。今の心も形無し。心のみにして形を忘るる時は今も神代、神代今日、今日神代。世の中の事は心程づつの事なり。心が神なれば即ち神なり。」