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    台風一過の晴天は、日本列島に猛烈な暑さをもたらしております。

    東京都心も午前9時16分には今年最速で30℃を超え、真夏日を記録。

    こうまで暑いと「麻もの」が恋しくなります。

    材料となる麻が高騰する中、比較的手に入れ易い「本場小千谷ちぢみ」です。

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   「小千谷ちぢみ」は天然の苧麻から採った細い繊維だけを使い、そのよこ糸には強い撚りをかけて織り、その後に「湯もみ」をして、撚りを戻すことで「しぼ」を立たせた麻織物です。

    そうです。

    原理は「ちりめん」と一緒です。

    それまで小千谷には無かったちぢみ織りの技術は、江戸前期の寛文年間に播磨国明石の浪士によって「明石ちぢみ」の技法が伝えられたことに始まります。

    ちりめんの織り技法は当初、大阪・堺に上陸したと伝えられていますから、堺からほど近い明石の浪士が伝えたという話もうなづけます。

    これ以後、越後で産するちぢみ織りは人気を博し、絹ものでは十日町の「明石ちぢみ」、麻ものでは「小千谷ちぢみ」が生産を増やしていきました。

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    麻のサラっとした感触に加えて、しぼ立ちによって生地が肌にまとわりつかないこと、麻に熱を奪う効果があることが、夏物として好まれる所以です。

    色調も淡彩であり、精巧な絣柄が上品さを発揮する逸品です。

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    袖を通すと、手のひらがハッキリと見えるほどの透け具合は、空気が乾燥するとすぐに切れてしまう「細い麻糸」を越後の雪の湿度で守りながら、丹念に織り込んだ証し。

    この透け感こそが、小千谷ちぢみの誇りなのです。