太陽黒点の出現、数日前から予測可能に
2009年9月の黒点群。
Image courtesy SOHO/ESA/NASA
Image courtesy SOHO/ESA/NASA
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August 19, 2011
太陽の奥深くから伝わる音波を観測する
ことで、黒点の発生を数日前から予測できる
とする新たな研究成果が発表された。
地球にさまざまな被害をもたらす太陽嵐の
予測精度向上に役立つとの期待もある。
黒点とは周囲に比べて温度が低く、その
ために黒く見える太陽表面上の領域だ。
太陽の中でも磁力活動が激しい場所に発生し、
太陽フレアやコロナ質量放出(CME)といった
磁気に起因する現象も、黒点が現れた場所
から起きるケースが多いとされている。
太陽フレアやCMEが地球に向かうときには、
太陽フレアやCMEが地球に向かうときには、
電荷を帯びた粒子でできた雲が太陽から
地球へ高速で発せられる。
これらの粒子が地球磁場と相互作用を起こす
これらの粒子が地球磁場と相互作用を起こす
ことで磁気嵐が発生し、宇宙飛行士や軌道上
の宇宙船、さらには地上の送電網や電気通信
機器を危険にさらすことがある。
そのため、黒点、およびそれに関係するフレア
やCMEの発生時期や場所を知ることは、太陽嵐
の予測にとって鍵となる可能性を持っている。
「われわれの観測技術を用いれば、(太陽)
「われわれの観測技術を用いれば、(太陽)
表面から6万キロ奥にある黒点領域が検出可能だ。
これにより太陽表面に出現するまでの1~2日間、
注意を喚起する時間が得られる」と語るのは、
今回の研究を率いたカリフォルニア州にある
スタンフォード大学の天文学者、
スタティス・イロニディス(Stathis Ilonidis)氏だ。
「これまで、黒点の発生領域を事前に知ることは
「これまで、黒点の発生領域を事前に知ることは
不可能だった。ゆえにわれわれの研究成果が
宇宙の天気予報の精度を改善することを期待
したい」。
◆音波の異常と黒点発生の関連性
地震波を参考にして地球の内部構造を調べる
◆音波の異常と黒点発生の関連性
地震波を参考にして地球の内部構造を調べる
のと同様に、今回発表された新しい手法では
音波とその振動を用いて太陽の内部を探った。
この手法はリアルタイムの観測ではまだ試さ
この手法はリアルタイムの観測ではまだ試さ
れていないが、イロニディス氏が率いる研究
チームは、NASAの太陽・太陽圏観測衛星SOHO
(Solar and Heliospheric Observatory)が過去に
集めたドップラー測定データを調べ、太陽表面
に現れる前から、黒点が太陽の内部で音波に
特徴的な変化を与えることを突き止めた。
研究チームは太陽表面のうち、後で活動が
研究チームは太陽表面のうち、後で活動が
活発化した4領域、特に動きがなかった9領域
のデータを調べた。その結果、活動が活発な
領域では、太陽の奥深くに潜む磁気構造を通り
抜ける際、音波がわずかながら速くなることが
わかった。
「音波がある地点から別の地点へと伝わる際
「音波がある地点から別の地点へと伝わる際
にかかる時間を測定したところ、(太陽内の)
特定の距離を通過するのにかかる時間が
約1時間であることがわかった」とイロニディス氏
は解説する。
「しかし、黒点発生領域が経路の途中にある場合、
「しかし、黒点発生領域が経路の途中にある場合、
音波の伝播速度は黒点のある領域ではやや
速くなる。
そのため全体の通過時間も12~16秒ほどだが
短くなる」。
黒点付近で速くなる性質を持つ音波信号は、
黒点付近で速くなる性質を持つ音波信号は、
太陽の表面から最深6万5000キロの地点まで
検出されている。
黒点を生み出す磁気構造が毎秒0.3~0.6キロ
黒点を生み出す磁気構造が毎秒0.3~0.6キロ
の速さで内部から浮き上がってくることを考えると、
黒点が太陽表面に現れるまでに1日から2日
かかることになる。
データからも、この計算は正しいことが裏付け
られている。
イロニディス氏は、ここまで早い時点で黒点の
イロニディス氏は、ここまで早い時点で黒点の
発生がわかる、強く明確なシグナルを検知できた
のは予想外だったと語る。
そして太陽内部のメカニズムに関するこの新しい
発見には実用的な恩恵もあると同氏は考えている。
「われわれの研究の応用範囲には大いに期待
「われわれの研究の応用範囲には大いに期待
できる。将来的には、これを利用して、宇宙の
天気の中でも実生活に大きな影響を与える事象
について、前もって有益な警告を発することも可能
になるのではないだろうか」。
太陽黒点の発生予想に関する研究は、
太陽黒点の発生予想に関する研究は、
「Science」誌2011年8月19日号に掲載される。
Image courtesy SOHO/ESA/NASA
Image courtesy SOHO/ESA/NASA

