3月の末だった。土曜日にタカの仕事帰りに待ち合わせをして散り掛けた桜を観てから食事をする予定だった。
彼は仕事が押して約束していた時間を1時間遅刻した。私は近くのお店をブラブラしながら適当に待っていた。逢ってどんな顔したらいいんだろう、どんな話をしたらいいのかな、そんな事を考えながら。
待ち合わせ場所に現れた彼は遅れてごめんね、と謝った。
大丈夫と答える私と目も合わせなかった。何だかぎこちない雰囲気
心配だったのはこんなシチュエーションだったんだ。
私もタカもお酒が入れば少しは和やかになるかも知れないと思い、スタンドで売っている赤ワインとビールを飲もうと提案した。飲みながらゆっくりと桜を観て周った。
まだ桜が残っていて良かったね、そんなたわいもない会話をしながら。
やっぱりお酒を飲むと気持ちが解れるのか だんだんとタカがいつもの電話の調子で話し始めた。
何か久しぶり過ぎてめっちゃ緊張する。とタカ
そう?いつも話してるじゃない。と私 意地悪して真っ直ぐ顔を覗き込む。
何だよ。止めろよ とタカ。可愛いw
花見の後は一緒にイタリアンを食べた。彼には敷居の高いお店だと思ったのでここではこの前のお礼という事で 私が払った。逢ったのが遅かったせいか終電まであと1時間ぐらいしかない。食事が終わり私は地下鉄に向かおうとした。その時
後ちょっとだけコーヒーか軽く一杯飲もうよ。と私を引き留めた。
え?? タカは何を言っているんだろう。事務所真っ暗って確かに不在だったけど・・・
彼の職場は目黒だししかも平日。会社で仕事をしているはずの時間なのに。
何で事務所が不在って知っているの?タカにストレートに聞いた。
だって行ったから。とタカ
だってじゃないでしょ。仕事は?と私
早退したよ。と悪びれもせずあっさり認めるタカ
何でそんなことするのよ?と私。・・・解ってる そうさせてしまったのは私だ。
彼はそこらへんまだ子供なんだ。気持ちのままに感情のままに動いてしまう。
後先の事を考えているようにはまるで見えない。
だってLINEで連絡が取れなくなったら電話番号もメールも家も知らないしこうするしか無かったんだよ。舞ちゃんが居なきゃ俺ダメみたいだ。