数日前からタカは今年の夏ボーナスが出るのか心配していた。
今年の6月から2年生になったタカは周りの恵まれた他の職種の友達と比べてイライラしてた。毎晩遅くまで残業、休日も隔週で出勤。沢山の理不尽な状況や社長からのモラハラに近い言葉の数々に耐えてきたのだから幾らかでも評価されたいと思うのは解る。
ボーナス無い会社もあるんだから出なくてもガッカリしないで。なんて慰めの言葉にも解っては居るけどイマイチ納得したくない感じだった。
友達に負けたくない。もっとより良い生活を送って幸せになりたい。いつも何かを求めて足りなく感じて満足出来ない とタカ。
勝ち負けの問題か??(-ω-;) 向上心があるのは良い事だけど幸せのボーダーラインは低い方が幸せなのにね。
そして昨日、ボーナスが半月分出たと昼過ぎにタカからLINEが来た。
良かったじゃない。おめでとう!と私。
半分は貯金するし欲しい物は買えなさそう とタカ。貰った金額が少ないと感じ不満な様子。夜、電話で話した時も 友達と比べて自分の不甲斐なさを訴えて居た。
私は彼のボーナスについては何の権利も無いどころか口に出すのもどうかと思ったが、タカから連絡があった時に思った事を話した。
タカが毎日こんなに苦しんで大変な思いして努力して得たお金でしょ。私は金額がどうこうじゃなくて凄く大切な貴重なお金だと思ったよ。決して無駄にしたく無い大切な大切なお金。 だから本当に貰えて良かったと思ったしおめでとうって思った。
空気が急に変わった。
舞いちゃん、愛してるよ。そんな風に思ったんだね。確かに俺のバンドのメンバーは皆んなボーナス出て無いしな。会社もマイナス出してるのに新人の俺に少額とはいえボーナス出すの厳しかったかも。
まるで絡んでいた糸が解けたようにタカは現状をあっさり受け入れた。