R.I.P.,Jim Morrison ジム・モリソンが亡くなって50年。
2021年07月03日、こちらの記事を書いた日から丁度50年前、1971年07月03日に「ジム・モリソン」が亡くなりました。享年27才。あまりにも若く、偉大な才能を亡くしました。詩人であり、ロックバンド「The Doors」のボーカリスト、ソングライターとしても有名な人物。ほとんどの方は「The Doorsのジム・モリソン」として認識されていますが、私は逆。上記のとおり、まず「詩人」であると認識しています。Doors (Reis) (Ogv) [12 inch Analog]Amazon(アマゾン)2,443〜4,453円ハートに火をつけてAmazon(アマゾン)149〜4,585円「The Doors」の曲の多く(すべてではない)が彼の詩で、当時としては非常に過激な内容も取り入れられており、"ロックという音楽に初めて「恐怖」の要素を取り入れた"とも言われています。特に、1967年発表のデビューアルバム「TheDoors」(邦題:ハートに火をつけて) に収録されている名曲「The End」は過激な歌詞で、当時のメディアやコンサートでのパフォーマンスも過激。観客はその歌詞とメロディー、バンド、ジム・モリソンの強烈な個性とメッセージ性に引き付けられ、硬直し、陶酔している様子がよくわかります。すでにデビューアルバムから高いレベルで始動した「The Doors」。もちろん、すべてが過激な歌詞の曲ばかりではなく、美しい歌詞とメロディーの曲がほとんどです。その後も多くの作品を制作し、ライブ活動も続けましたが、マナーの悪い観客に飛び掛かったり、ステージ上で卑猥な行為を行って逮捕される等の問題も重なり、バンドとしての活動は縮小。1971年1月にスタジオアルバムを制作した後、事実上の脱退。1971年3月、本来の彼の姿と目標である「詩人」としての活動に専念するため、恋人「パメラ・カーソン (Pamela Susan Courson。パメラ・スーザンとも呼ばれる。ジムもパメラ・スーザンと呼んでいた。)」とともにパリへと移住。…しかし、1971年7月3日、住居であるアパートのバスタブの中で死んでいるところをパメラが発見。あまりにも突然の死を迎えました。"事件性が無い"との理由でパリの警察は検死を行わず、死因は心臓発作と発表。パメラの証言や普段から薬物を使用していたことから、薬物の過剰摂取が原因とされていますが、あまりにも突然であり、あまりにも衝撃的な死であったため、現在も謎が多いミステリアスな死として語り継がれています。さらに、彼が尊敬していた「ローリングストーンズ」の創始者「ブライアン・ジョーンズ」もまた、(1942年)7月3日に27歳で謎の死を迎えていることから、さらにミステリアスな印象が深くなっています。 ブライアン・ジョーンズ … 1942年2月28日生、1969年7月3日没(満27歳) ジム・モリソン…1943年12月8日生、1971年7月3日没 (満27歳)『偉大なる英雄の共通点。』私が心から尊敬する人物や、強く影響を受けた人物は数多くおりますが、その中でもズバ抜けている存在の4名がこちら。ブライアン・ジョーンズ (ミュージシャン)…ameblo.jpまた、その3年後、パメラも1974年4月25日に27歳で亡くなっていることから、ますますミステリアスな印象が深くなります。…こうして、人類は偉大な才能を喪いました。死後も、実は亡くなっていない、アフリカに亡命しようとしていた、墓が小さすぎる等々、ミステリアスな印象から様々な説が今なお語られますが、残念ながら、その可能性は無いと思います。(後記)彼が遺した作品は「The Doors」の詩や曲、声のみでなく、彼が本来目指していた「詩人としての詩集」も、しっかりと遺されています。遺された詩集は計6冊。そのうち、"ジム自身の意思で出版した詩集"は4冊(合本も含む)、"ジムの没後に発見された膨大なノートをまとめた詩集"は2冊。【ジム自身の意思で出版した詩集】・The Lords (1969年春 自費出版限定100部 未発売)・The New Creatures (1969年春 自費出版限定100部 未発売)・The Lords & The New Creatures (1970年5月 出版社から出版 上記2冊の合本。邦題:ジム・モリスン詩集―「神」「新しい創造物」)・An American Prayer (1970年夏 自費出版限定500部 未発売)ジム・モリスン詩集―「神」「新しい創造物」Amazon(アマゾン)4,070〜16,836円神/新しい創造物―ジム・モリソン詩集 (1985年)Amazon(アマゾン)4,800〜12,200円【ジムの没後に発見された膨大なノートをまとめた詩集】・Wilderness: The Lost Writings Of Jim Morrison(1988年11月 出版社から出版 邦題:ウィルダネス)・The American Night: Lost Writings of Jim Morrison(1990年8月 出版社から出版 日本未発売)Wilderness: The Lost Writings of Jim MorrisonAmazon(アマゾン)200〜4,595円The American Night: The Writings of Jim MorrisonAmazon(アマゾン)511〜2,981円現在、残念ながら日本語版はすべて絶版となっており、古本で探すしかありません。古本でも入手困難な作品もあり、ぜひ電子書籍化していただきたい作品の数々です。「The Doors」でも"ワイルドな歌詞"はありますが、各詩集ではさらに"ワイルドな詩"も多くあります。しかし、いずれも美しい詩の数々であり、その鋭い目線によってすべてを見抜き、観察し、解体し、感情をぶつけ、本能のまま表現されている印象で、「The Doorsのジム・モリソン」ではなく、あるひとりの詩人「ジム・D・モリソン」として挑戦していることが、しっかりと伝わってきます。当初は自費出版として「The Lords」「The New Creatures」の2冊を作り、詩人で友人であるマイケル・マクルーア氏に薦められて、合本として「The Lords & The New Creatures」を出版社から初出版。製本を抱きしめ、喜びのあまり涙を流したそうです。タイトルから宗教的な印象を受けますが、そのような内容ではありません。性、生、死、詩、人、物、視線、時間、空間、映画、自身、自己分析、等々。読めば読むほど、美しく、鋭く、奥深く、興味深く、新鮮で"難解"です。自らの意思で出版した最後の詩集「An American Prayer」は残念ながら未発売。そして、没後に発見された膨大なノートの未発表の詩をジムの意図に忠実であることを目標としてまとめられた「ウィルダネス」は1988年(日本語版は1991年)に発表され、没後17年の時間を経て世に出ました。同書の制作に関わった方々によれば、その詩は膨大であり、何度も修正や加筆された形跡があり、いくつもの他の詩からの抜き取り、融合など、作品の完成度に徹底的にこだわっていたと言い、素晴らしい詩集に仕上げられています。「自己インタビュー」から始まり、自身の半生も表した作品などもあり、中でも「ブライアン・ジョーンズ」に捧げた詩「Ode to L.A. While Thinking of Brian Jones, Deceased (LAへの歌 亡くなったブライアン・ジョーンズのことを考えながら)」は有名で秀逸。哀悼の意、尊敬の念、思い出、死に対する率直な想い、冷静な判断等が、ひとつの詩に凝縮されています。「自己インタビュー」では、詩を書くことは小学生時代から始め、高校から大学時代までに「山のような(数の)ノートを書き溜めていた」が、大学を去る際にそのすべてを捨てたとあります。それらは他人の真似事であり、捨てたことによって自由になり、自身の表現したい詩を書けるようになったとも。このことから、もしもジムが亡くなっておらずに姿を消すならば、「ウィルダネス」に使われたノートもすべて処分していたはずですので、残念ながら生存説は無いでしょう。また、自身の詩のノートは恋人パメラ・スーザンのみが観ることを許され、他の人々、バンドのメンバーでも観ることは許されなかったといわれていますので、その理由からも、ノートもすべて処分していたはず。同じく残念ながら生存説は無いでしょう。彼が遺した詩の数々は、「The Doorsのジム・モリソン」のみならず、「詩人のジム・D・モリソン」としても高く評価されています。冒頭、"詩人であり、ロックバンド「The Doors」のボーカリスト"と表したのは、こういった理由です。強烈な印象と作品を残し、あまりにも突然去ったジム・モリソン。没後に彼の関係者が語ったインタビューをまとめた著書「ジム・モリスン 幻の世界」にあるベイブ・ヒル氏(映画プロデューサー)の言葉が、彼を見事に表しています。 奴は自分のことを究極のヒッチハイカーだと思っていた。 未来もなく、過去もない。 そして現在もなく、何の希望も持たない。 究極の一瞬に生きる存在なんだ。詩人ジム・モリソンはこれからも永遠である。