ジャズ喫茶の著作物使用料 | 音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号

ジャズ喫茶の著作物使用料

正々堂々blog:音楽利用者の会、JASRACに乗り込む!!
http://blog.goo.ne.jp/kawauchi-sori/e/aaaff95419fb894926ce06df6e910ead

かねて懸案だった、音楽利用者の会が新潟のスワンさんや、横浜のエアジンさん、長野のブルージーンズさん、和歌山のデサフィナードさん、札幌のくうさん等、総勢52名(店)の皆さんで構成され、代表者の方々にJASRACに乗り込んでいただきました。

残念ながら、ぼくは今日午後1時から本会議が開催され行けなかったのですが、先方は吉田理事長をはじめとして、幹部のみなさんが勢ぞろいで待っていていただいたようです。

1、JASRACは、来年の4月に全面的に使用料規定の見直しに着手する方針であり、その為に利用の実態、現場の話を聞かせてもらいたい。建設的な話し合いをしたい。

2、それに対して、利用者の会の方では、現場の担当者は包括契約しか押し付けて来ないが、1曲あたり(90円)で契約したほうがいい店もある。(月に1回、2回しかライブしない店など)

3、あるいは、レコード、CDで音楽を流してい店でも、ある店は喫茶店として年間包括契約として8,000円、ある店はジャズ喫茶として認定され月20,000円請求されるのは不合理だ、と主張した。

4、JASRACの管理楽曲以外の楽曲だけを演奏して来た場合には、それについて過去分を請求するのは間違いだ、との主張に対して、これはJASRACも認めた。

5、今後、継続的に協議していくことに合意。

次回は12月6日。

以上が、第1回の概要です。

とのこと。

使用料の不合理さと恣意性にポイントを絞り込んでいるようです。

店が支払えないほどの額を請求することには、いくらかの問題があります。高額の使用料を払うことで、音楽が鳴り響く場が失われるのであれば文化は発展しません。個別の作曲家が、これだけの使用料が得られないならレコードをかけてくれるな、ということでしたら、著作権の認めるところですが、委任されている団体が使用料を決定しているのですから、使用の実態に合った使用料を設定し、権利者に利益を、ジャズ喫茶に集まる人たちやその場所で育まれる文化を、という視点で決定するべきです。
(たとえば、純利益の何%とかってのは、双方どうなんでしょう?)

ジャズ喫茶か喫茶店のBGMかで、大幅に支払額が変わってくることは、合理的ではないというだけではなく、恣意的な運用にも繋がります。おそらく、多少喫茶店のBGMよりもジャズ喫茶の使用料が高くなることは、合理的であり納得する店主も多いでしょう。しかし、その差が大きくなると、店としての実態に差はないのに、調査員の思惑で、ある店はジャズ喫茶の使用料を、ある店は喫茶店のBGMの使用料をという差が発生してしまいます。使用料を妥当な差に収めること、算定額がその運用によって必要以上に違ってこないように使用料の見直しをすることと同時に、ジャズ喫茶と喫茶店の違いを明確にすることが必要です。

ちなみに、「年間包括契約として8,000円、ある店はジャズ喫茶として認定され月20,000円」という表現は紛らわしいので、ちゃんと計算しましょう。
喫茶店は8000円/1年に対し、ジャズ喫茶は480000円/1年。



ちょっと気になるのは、ジャズ喫茶での著作物の使用が、どの程度分配に反映しているか、です。
ジャズをかけているわけです。で、ジャズをかけることを看板にして営利に役立てているから、使用料を支払い、かつその使用料は通常の喫茶店のBGMよりも高額になっている。


その使用料は、本来、個々のジャズの作曲者に支払われるべきです。


個別に、というのは困難でしょう。
しかし、いくらジャズをかけても、その配分先になんら反映されない、サザンや宇多田ヒカルや演歌系の偉い作曲家先生に支払われるのでは、不合理であり、ジャズ喫茶の店主として、ジャズ喫茶の客として、納得できないはずです。

ラジオやテレビでのサンプリング調査やCDの売り上げとは、かなりかけはなれた使用実態がありますから、なんらかの対処が必要と思われます。

まず現時点での実態を知るために、どのような配分がなされているかの説明と、実際にジャズ喫茶の定番曲の作曲家への支払い実績を提示してもらう必要があるのではないでしょうか。マイルスにいくら届いているんでしょう? そして、適正な配分の算定を求めたいところです。


たとえば、ジャズ喫茶で使用した曲を、ジャズ喫茶側で全部特定して使用曲リストを提出するなんてことは、現実問題としてどうなんでしょう? リクエスト用にリスト化している店や、CDがメインならCDDBなどを使ってデータベース化もやれないことはなさそうですが。
そして、それが可能ならば、JASRACは個別に使用料を支払うべく対処だと思われます。本来支払われるべきところに使用料を支払うための努力を、惜しむべきではありません。個別徴収個別配分のテストの場として、ジャズ喫茶は適した場であるように感じられます。たとえば、過去の使用料を減額する代わりに協力してもらうことで、数年間試行してみる。

いかがでしょう?



というわけで、パブコメ終了後も、ぼちぼち更新します