コバマス3,4日終了後の翌日の朝。
 
父より大量のみかんが届いた。
 
 
お礼の電話を父にしたところ
 
開口一番
 
『お前、なにかスクールに通っているのか?』
 
ときかれた。
 
一瞬驚いたけれど、
私は素直に
 
『カウンセラーになりたくて、勉強しにいってるの』
 
と話した。
 
 
 
それにしても、いきなりでびっくりした。
 
今回、マスターに行くことは、母にしか話していなかったから。
 
 
私は過去に
 
いろんな資格をとったりいろんな勉強をしたりしてきたけれど、仕事で使ってないものもあったし、途中で勉強をやめたりもしてきた。
 
なにかを学ぶことは好きだけど、いろんなことに興味があって、これだ!ってものを見つけられない私。
 
活かしきれない私。
 
極めれてない中途半端な感じ。
 
そんな私を私自身がどこかで恥じていた。
 
そして、そんな私を母はまだしも父は
 
馬鹿にしたり情けないと思うと
 
私は勝手に
 
本当に勝手に思い込んでいた。
 
 
 
だから、マスターコースのこと、話したくないと、今は黙っていようと
 
そう思っていた。
 
しかも、母にお金を借りていたから
そのことに文句を言われるか
 
もういい加減に子供を作りなさいとか
 
以前取った資格で仕事をしたほうがいいとか
 
まぁ、そんなような父の言葉を
予想しながら待っていたら、
 
出てきた言葉は余りに以外だった。
 
 
 
父はすごく優しい声で
 
 
本当に優しい声で
 
 
 
『そうか。お前は話すのが好きだからなぁ。がんばってください。』
 
と言った。
 
 
その時
 
 
なんだ、私、壮大な勘違いをしてた。
 
お父さんはちゃんと私を見ていてくれたし
 
いつも応援してくれてるんだなぁ。
 
私、こういう言葉とかが欲しかったんだよなぁ。
 
なんだ、お父さんも私の望む愛情をくれるんだ。
 
やっと、私の望む愛情をくれる。
 
お金だけじゃなくて。
 
 
そんなことを思ったのだけれど、
 
同時に
 
私は 、お金も愛情のひとつだとは思っているけれど、言葉やハグのほうが上だと思っているなぁ、
本当かなぁと、もやもや考えて、はっとなった。
 
マスター3日目の
コバのお菓子が愛情、という言葉を思い出して
はっとなった。
 
 
 
 
 
 
私は裕福な家で何不自由なく育った。
 
お金で困ったことはないし
 
欲しいものは全てではないが買ってもらえた。
 
大学時代も仕送りがあったし
 
学費も勿論、結婚式の費用も出してもらった。
 
 
 
両親には
感謝していた。
 
 
 
でも
 
私は単純に
 
大事だよとか可愛いとかいう言葉や
 
あたたかいハグとか
 
そういうものが愛情だとおもっていて
 
父はそういうことを、おおっぴらに
 
する人ではなかったから
 
お父さんはお金は出してくれるけど
 
なんか冷たいひとだなぁ、
 
私は言葉やハグが欲しいのに、、、愛情表現の
 
乏しい人だなぁ、
 
そんなことを思っていた。
 
 
 
 
だからいつしか
 
(私が望む)愛情をもらえないんだから
 
お金くらいくれるのは当然だ、
 
なんて、思うようになっていた。
 
 
 
 
そう
 
私のなかでは、
 
 
愛情として、精神的なものと物質的なものは、大きく差があった。
 
つまり、精神的なもの(ハグだったり、言葉だったり、熱だったり、気持ちだったり、、、)が崇高な愛情であり、物質的なもの(ものやお金)は、愛情だけれども、精神的なものには劣るな、的な考え方を持っていた。
 
 
 
 
 
お金やものだけくれるのがお父さんの愛情
 
私の求めている愛情じゃなかったけど
 
もう、それはそれで仕方ないや
 
なんて そんな風に思っていた。
 
 
 
 
でも
 
いまは、はっきりとわかる。
 
お金はまちがいなく、愛情だった。
血がかよっている。
 
そもそも
 
愛情にランクなんてない。
 
物だろうがお金だろうが、ハグだろうが、言葉だろうがそこには優劣なんてない。
 
 
 
 
佐和子がやりたいなら
 
佐和子が喜ぶなら
 
佐和子に必要なら
 
 
そうして出してくれたお金。
 
そこには 私への想いがある。
 
私に対する惜しみない、あったかい、優しい想いがある。
 
 
 
これは
 
愛情でしかない 。
 
愛情と言わずになんというのか
 
いまはわからない。
 
 
 
そう思った瞬間に。
 
全ての記憶が走馬灯のように頭をかけめぐった。
 
沢山お金を出してもらったことを。
 
 
 
そういえば
 
結婚式の費用、お父さんと銀行に振り込みにいった。
 
 
お父さんは、ぶっきらぼうに通帳と印鑑を渡して、必要な分払えといって、待合の椅子に座っていた。
 
 
私を思って
くれたお金
 
お父さんが働いて作ったお金
 
  
 
他にも沢山、ほんとに沢山、思い出が溢れてきて
 
涙が止まらなかった。
 
 
 
お父さんは、めちゃめちゃ愛の人で  
 
私に沢山沢山、愛情を注いでくれていた。
 
 
 
 
 
 
私は今なら堂々と言える。
 
私の両親は、私に愛情をたくさんくれた。
 
そこには、お金という愛情も沢山沢山含まれています!と。
 
口に出して言って、いやらしさがまるでなかった。
 
むしろ、誇らしかった。
 
 
 
 
 
 
愛情って、本当にいろんなところに
 
いろんな形で、存在している。
 
これから
 
もっと沢山、目で、心で感じたい。
 
 
 
 
 
私は今日も、父のくれたみかんを食べながら
 
みかんを送ってやれ、と母にぶっきらぼうに
 
つたえている父の姿を思いうかべて
 
また泣いた。
 
 
 
 
そして
 
机にのっかっているみかんを見て
 
お父さんの頭みたいな形
 
と、泣きながら、笑った。
(父は職業柄ツルツルです。)
 
 
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