【1】

 

夏にとなるとボクは 葉山の別荘で 時を過ごすことが多くなる

 

海に面した白いテラス 江の島に落ちるサンセットが 

 

ボクは人生の終焉を感じてしまう

 

 

 

【2】

 

若き日 同じ夏の季節 テラスで夕陽を眺めているボクに

 

冷たいクリームソーダを持ってきてくれたのは亜希子さんだったろうか

 

 

亜希子さん。 東京で知り合った亜希子さん

 

かつては誰かほかの人の恋人だった亜希子さん

 

ボクが思いを告げると 彼女はすぐボクのものになった

 

けれど亜希子さんは 新たな男性に愛を告げられると

 

すぐその人を愛してしまう女性だった

 

 

【3】

 

あれからどれだけの年月が流れただろう

 

ボクは今も夏になると葉山の別荘で そのテラスにたたずみ 

 

江の島に落ちる夕陽を眺めているよ

 

 

 

ねえ 亜希子さん 

 

あれからどんな男たちが君を好きになり 君はその恋人になっただろう

 

でも今 ボクへ君と再会したらやはり 君に愛を告白するだろう

 

そして 君はボクの恋人となるだろう

 

ボクは最初の男ではなかった

 

 

 

 

 

 

けれどボクは 最後の男になりたいと願っているから