作曲家、三善晃さんの訃報を知った。4日、心不全にて死去とのこと。享年80歳。

一昨日のこと、何の前触れもなく、管弦楽と混声合唱のための「詩篇」の一節が、僕の頭の中で繰り返しリフレインした、そんなことがあった矢先。


僕は本ブログにかつて併設していたホームページで、三善さんの音楽を神のように崇める一方で、否定的なことも併せて書いた。合唱仲間で、彼のことを悪く言う人は誰一人としていない。マイナスな発言をするのは、僕だけ。感じたことを正直に書くのが、失うものが何もない、僕のホームページの編集方針だったから。

どんなに偉大な作曲家でも、全ての作品が名曲であるとは限らない。むしろ、誤解を恐れずに言えば、名曲と言える作品の方が少ないというのが、芸術音楽の作曲家では普通なのではないかと思う。僕は三善作品、特に合唱曲について、神の筆によるものとしか思えない作品があると感じる一方で、どうも好きになれないという作品も相当数あった。器楽曲はどれも素晴らしかった。管弦楽曲も、室内楽も、ピアノ独奏曲も、聴けば必ず、大きな感銘を受けた。ピアノ独奏曲など、自分で自在に弾けたらどんなに楽しいことだろうと思うが、不可能なのがもどかしい。

偉人を失った今、ただただ思うのは、僕の脳に、彼が書いた音がたくさん残っていることへの感謝。そして、彼の音楽に耳を澄ますことによって、僕のあらゆる音楽への感じ方が育まれたことへの感謝。

故人のご冥福をお祈りいたします。