【戦術的雑記】カットマンがカットを使うメリット/「攻撃もできないと勝てない」は本当か | 働くカットマンのチラ裏卓球ブログ

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 前回の続きです。

 これで終わるかなと思ってましたが、長くなり過ぎました。

 

 

 フレンドマッチの制限付き練習試合を踏まえ、色々考えてると、

 

 カットって、返球するのに適して無くない?

 高等技術過ぎへんか??

 もしかして要らんのでは…?

 

 というそもそも論に辿り着いてしまいました。

 

 

 薄々感じてはいました。

 

 やりたくてやってるから…と言っても、もし本当にコレで終わってしまったとしたら、わざわざ才能を与えられなかった卓球で、そんな縛りプレイを一生続ける程ドMでもありません。

 

 全力でカットを使うメリットを見出さなければなりません。

 

 

【カットを使うメリット】

 

 前回記事でもチラッと書きましたが、サワリだけでした。

 少し踏み込んで考察してみます。

  1. やってて楽しいし見た目も何か良いかんじ
  2. 上回転より下回転打ちに慣れていない人が圧倒的大多数
  3. 実はレシーブ技術としての汎用性がめちゃくちゃ高い
  4. 回転量の差を上回転~下回転まで2倍つけられる
  5. 下回転の範囲内での変化幅も上回転以上につけやすい

 

 

①やってて楽しいし見た目も何か良いかんじ

 なんやかやカットマンをやり続ける、最も根源的な動機です。

 

 これが無かったら、卓球する上で、わざわざカットマンという苦行を率先して選択したくなるような、業の深い人間はいないでしょう。。。

 

 カットマンの先輩を見たり、強いカットマンの選手を見て、あんなんできたら楽しそうだと憧れる。

 これは理屈を超えた先の本能に訴えかける衝動・欲求になります。

 

 僕は知り合いや一方的に知っている強いカットマンのプレイを見たり、プロ選手のプレイを見ては、「やっぱりカットマンはえぇなぁ」と再認識しています。

 

 そして、大概の人がみんな細身なのを見て、今の太ってしまった自分を省みて、才能無いんやったらとりあえず痩せてなアカンわ…と悔い改めるまでが一連の流れです😇

 

 ブログ立ち上げ当時は、卓球もしまくっていたのでまだかなり痩せてたんですが…最近、現役時代とは言わないまでも、ブログ立ち上げ当時ぐらいの頃の動きを取り戻すべく、ダイエットを再開しました。。。

 まだ加齢による運動能力の衰えはほとんどなく、単に太ってしまったから動きが遅いんやと思ってます。。。😇😇😇

 

 

 趣味で楽しくやるだけなら、①だけで十分ですが、「どうせやるんやったら勝ちたい」という欲求が強い人は、これ一本だとどこかで心が折れてしまうと思います。

 

 

②上回転より下回転打ちに慣れていない人が圧倒的大多数

 これはカットマンの存在意義や稀少性にも繋がってきます。

 

 上回転より下回転打ちが"得意"という人も中にはいると思いますが、まず間違いなく全選手が、下回転より上回転を打つ機会の方が多いので、「上回転をカットで下回転に変換して返す」という行為そのものが、ほとんどの選手にとっての相対的な弱点を突くことに繋がります。

 

 また、カット自体の球質は、ツッツキとはまた異なったものになります。

 

 個人的に、ドライブで返球する上で最も難易度が高いのは、カットよりブチ切れのツッツキだと思っていますが、それでもカットの弾道や打球点は独特なので、慣れていない人も多く、稀少性も相まって武器になります。

 

 

 返球技術としてのカットは難易度がクソ高い部類だけれど、入れば球速が遅くとも立派な攻撃になる。

 これがカットの本質だと思います。

 

 

③実はレシーブ技術としての汎用性がめちゃくちゃ高い

 これは結構カットマンあるあるだと思います。

 

 僕は卓球の才能の中でも、特にレシーブの才能に恵まれなかったと自負しています。

 

 「レシーブとか回転に合わせとけば返せるやん」っていう奴の神経が分かりません😇😇😇

 

 しかし、台から出てくるサーブだとカットできるので、回転軸がよう分からんサーブを出されても、とりあえずちゃんと捉えられたら返球できる…という点で、非常に助かってます。

 

 カット打ちに自信がない攻撃型の人は、カットマンにはショートサーブを多く出した方が絶対良いと思っています。

 

 

 攻撃型でも

 「回転軸がよう分からんサーブを出されてどうしようもない時は、浮いてもいいから思いっきりブチ切ってツッツけ!」

 というのは定石だと思います。

 

 ツッツキは台上技術です。

 

 大雑把な言い方ですが、これを台外で距離をとって行うのがカットです。

 

 

 横の強いやや上なのかやや下なのか、ジャイロ系だったり相手のインパクトが若干見えなかったりしてよー分からんけど、台の外に出てきてくれたから、とにかく擦って返す。

 

 これがレシーブ技術としてのカットの汎用性です。

 

 回転を強烈にかけておけば、そこそこの相手の回転量を無効化できます。

 

 また、多少浮いたとしても、とにかく切って返せば相当な回転量になりますから、3球目の打ちミスに大きく期待できますし、浮いた時間を利用して台から距離を取れば、強打が入ってきても何とか凌げるかも知れません。

 

 

 僕は、カットをブチ切る感覚だけはまだ恵まれた方だと思っていて、おそらく卓球で唯一、誰に教わることもなく最初からできた技術です。

 (他は教わってもできないものばかりです😇😇😇)

 

 試合中にブチ切れのカットを使える場面はそこまで多くないですが、レシーブに限って言えば、よう分からんサーブを出されて切って返すことで得点できて助かった…という場面は、かなりあります。

 

 

 このカットレシーブは、そもそも切る感覚がないと回転を無効化できず意味がないので、カットマンはまず、フォアでもバックでも切る感覚を覚える必要があると思っています。

 

 次の話に繋がりますが、もし切る感覚が無いままカットマンを続けるとすれば、カットマンの戦型的な優位性を十分に発揮できないため、突き詰めて考えると、カットマンを続けること自体があまり得策では無いように思います。

 

 

④回転量の差を上回転~下回転まで2倍つけられる

⑤下回転の範囲内での変化幅も上回転以上につけやすい

 これらがカットマンの戦型的な優位性になります。

 

 例えば攻撃型選手が上回転に対して上回転で返球する場合、10の回転量を生み出せるとすると、0~10の変化幅しか生み出せません。

 

 一方でカットマンの場合、上回転に対してカットで返球することで、下回転にすることも可能です。

 上回転で10、同じく下回転で10の回転量で返球できるとするならば、回転量の変化幅は±10、つまり絶対値で20となります。

 

 

 実際には、攻撃型選手ほどの上回転量を生み出せない人がほとんどだと思いますから、上回転は7とか8だけかも知れません。

 

 しかし、カットは相手のドライブの回転方向にある程度沿って返球する打法なので、下回転の最大量は15ぐらい生み出せることも多いです。

 

 フォアでそれができなくとも、バック粒なら相手の回転量を利用しやすいので可能だ…という人も多いと思います。

 

 下回転と上回転では弾道も回転も異なりますので、単純な回転の変化幅が少なくとも、上回転と下回転を使い分けることができれば、相手の面を大きく狂わせることができたり、相手が慎重になって強打し辛くなったりします。

 

 特に数点だけでも回転の変化で得点できると、こちらの想像以上に相手の脳裏に嫌な印象が深く刻み込まれたりします。

 

 実はそう何度も無いのに、相手が必要以上に警戒して甘く繋いでくることも多いです。

 

 

 さらに⑤。

 あくまで個人的な感想ですが、ドライブで回転量に差をつけるのって、技術的にかなり難しい部類だと思うんですよね。

 

 縦回転の差をつけるナックルドライブや、横回転で差をつけるカーブドライブとシュートドライブを自在に打ち分けることは、かなり難しいです。

 

 卓球で飯を食っているプロ選手や実業団選手を除き、僕が今まで打ってきた人や一方的に会場で目にした人間の中で、これら全てを高次元でやってくる人間は、大学の激強同期しか知りません。

 

 特にカーブドライブとシュートドライブではフォームが大幅に異なりますので、全く別技術レベルです。

 

 

 しかしカットとなると、ナックルカット・カーブカット・シュートカットを搭載していて、試合でも実際に使用しているカットマンは、草大会レベルでもよく目にします。

 

 フォームやボールの捉え方を少し変えるだけで、使い分けられるからだと思います。

 

 カットマンは変化で勝負しないといけない、ということはよく言われますが、そもそもカットという技術自体が、回転量や回転軸の変化をつけることに親和性の高い技術なのだろう…と思います。

 

 

 これら①~⑤の点から、カットマンという戦型や、カットを使うという選択肢そのものには、現在でも意味があるのだと思っています。

 

 

 

【「現代型カットマンは攻撃もできないと勝てない」?】

 

 ちょっと話が逸れるようですが…よく聞くこのフレーズ。

 

 何やかやずっと昔から言われていることですが、結論から言えば確実に真理だと思います。

 

 

 "現代"って、いつから現代なのか分かりません。

 YGサーブもいつまでヤンジェネ言うてるんか分かりません。笑

 

 このフレーズは、少なくとも僕が中学生の頃…現人神であらせられる松下浩二神が現役で活躍されていた頃から、ずーーーーっと言われ続けています。

 

 もはやこのフレーズ自体、擦られ過ぎて陳腐化しています。

 

 

 そりゃ大昔は、とにかく粘っていれば勝てたと思います。

 

 というより、用具が未発達で、下がってたら全部触れるだけの球速しか飛んでこないし、技術も未発達だったんでしょう。

 

 僕が生まれる前なんか、ループドライブすら無かった時代もあるんですよね。今となってはビックリです。

 

 現代卓球の前陣化はどんどん加速していて、小学生がバックドライブ振るどころか普通にチキータ使う時代ですし、カットマン対策も進歩しています。

 

 強者は、「まずカットさせてあげない」が主戦術です。。。

 

 

 が、だから攻撃メインで行くんだ…という発想に至るなら、

 

 「じゃあそもそも、カットマンなんかしなくて良いのでは?」

 

 という結論に、僕は辿り着いてしまいます。

 

 これは少し前の記事で書きました。

 【雑記】現代型カットマンの目指す先について少し考える

 

 

 僕は、カットも攻撃ですし、ドライブも攻撃ですし、スマッシュも攻撃ですし、何ならツッツキも攻撃だと思っています。

 

 つまり、相手が甘く返球せざるを得ない球=全て攻撃です。

 

 ドライブやスマッシュはかなりの球速が出るため、甘く返球されるどころかノータッチで抜けることも多い…という違いがあるだけです。

 

 

 カットマンの本質は、粘りではなく、試合中で扱う多彩な技術によって、球に回転量や弾道、スピードの変化をつけて勝負するところにあると思っています。

 

 その変化の一要素として、いわゆる「攻撃」と呼ばれる技術である、ドライブやスマッシュもカットマンには必要だ…と言うに過ぎないのだと思います。

 

 そのため、僕は英田選手のスタイルには懐疑的です。

 

 やりたいプレイをやるのが一番ですが、トップを目指すスタイルではないと思います。

 

 使用技術が極端に攻撃技術に偏り過ぎているため、アレではカットマンの本質である変化をつけるという話ではなくなってしまいます。

 カットが試合中では死に体の技術になってしまうため、カットに割く練習時間が無駄になってしまいます。

 そのため、成長効率が悪くなってしまい、中国選手はおろか、日本代表選手に勝てるレベルになるまでには、残りの現役生活を考えると、時間が残されていないと思います。

 

 しかし全部入る時の爆発力は、カットマン?としては過去イチだと思います。

 

 ほぼ「クレアンガが現役時代にバックカットを取り入れていたとしたら?」というifストーリーみたいな卓球ですし…笑

 

 

 

 話を戻します。攻撃型でもカットマンでも、変化が無ければ、いくら入れ続けても勝てません。

 

 相手が、粘れないように、ミスするように、ノータッチで抜けるように先に変化をつけてくるからです。

 

 それでも相手以上に1本多く返すことができれば、必ずその人は勝つことができますが、相手の変化に全て対応して、常に受け身でも相手より1本多く返すことができる程のボールタッチがある選手だったら、もっとラリーの早い段階で得点できますし、そっちの方がずっと省エネな訳です。

 

 

 一般的な攻撃型は、特に球速や打点の速さ、コース取りという変化で勝負して、物理的に球に触れないようなプレイも多いです。

 

 対してカットマンは、球速や打点が攻撃型よりゆっくりしている分、回転量や軸の変化幅を武器に戦う必要があります。

 

 ノータッチで抜けるシーンが攻撃型より少ない分、ラリーも攻撃型同士の試合より長く続く傾向にあるため、相対的に攻撃型よりも粘りが必要とされる…という話なのだと思います。

 

 変化をより効かせるためには粘って相手に色んな球を見せる必要がある…ということで、粘ることは変化をつけるための手段なんですね。

 

 ただ、入れることさえできなかったら変化もつけられません。。。

 

 とはいってもやはり、昔ほど延々とワンコースで100本ノーミスで続ける…ということの重要性は、かなり薄らいで来ているとは思います。

 

 ラリー中に全部相手のコースを予測できることなんて、絶対有り得ませんし。

 

 しかし、100本ノーミスで続けるとなると、相手の球質もさすがにバラけてくるので、100返せるということはそれらを全て返球できるだけのボールタッチが身につくことになりますから、安定性と感覚を同時に養えるという効果は、かなり見込めます。

 

 しかし手加減されても意味はないので、試合だと思って変化をつけながら100本打ち込んでもらわないといけません。

 練習時間が豊富にある人向けのメニューです。

 

 

 カットマンは変化が重要だ!!と言っても、最終的に試合の終盤で相手に全ての変化に対応されてしまった場合、カットマンは、使用技術が多いだけのただの器用貧乏に成り下がってしまいます。

 

 そんな場面で最後にカットマンに残された道は、粘り倒してスマッシュをぶち込むチャンスをひたすら待つしかありません。

 

 

 

 そういう意味で、粘れることはやはり重要で、そして僕自身に、最も足りていない部分です。。。

 

 

 さらに次回に続きます。