【想像の海】

 

ソロモンは栄華を誇り、象牙を数多く所有していました。そして、おそらくシュラムも象牙の価値と美しさを知り尽くしていたことでしょう。だからこそ、あり得ない組み合わせ、象牙とサファイアを選んだのだと考えられます。この組み合わせは現実には存在しないのです。ソロモンも、シュラムも、実際に見たことがないと考えました。

では、なぜあえてあり得ない組み合わせにしたのか。それは、この現実ではあり得ない組み合わせだからこそ、無限の想像力を与えることができるからではないでしょうか。青く輝き、六条の光を放つサファイアを優しく包む象牙。その象牙には命が宿り、サファイアは自然の恵みとして存在します。この二つが重なった光景は、誰も実際には見たことがないものですが、読む者は自由に想像することが許されます。

想像の対象は、人それぞれで異なってよいのです。大空を思い描いてもよいですし、夜空に輝く星々を喩えても構いません。私は、この象牙とサファイアの組み合わせを大海原としてイメージしました。ノアの箱舟から頬に香料の種を蒔かれ、ソロモンの異教徒に悲しむ涙の川を渡り、そして、この青く輝くサファイアの象牙の海にたどり着くのです。

シュラムやソロモンは、それぞれ異なる美しいイメージを持っていたかもしれません。しかし、このあり得ない組み合わせによって、誰もが自分の心の中で最も美しい楽園を描き出すことができる。それこそがシュラムが表現したかった、想像力を解き放つ至高の世界であり、神の愛に導かれる楽園の象徴であると考えられます。