【ユリで結びつく夢の中のソロモン】

ソロモンは、シュラムの乳房の間に小鹿とガゼルがいると表現していますが、ここで重要なのは、ガゼルや小鹿自体が乳房を意味しているわけではないと考えました。むしろ、ソロモンは「ユリの花の間で草を食べる小鹿・ガゼル」という描写を通して、ソロモン自身がシュラムの乳房の間から見える光景を示していると考えられます。つまり、乳房の間をユリの谷として描くことで、間接的に乳房の存在を示しつつ、具体的な表現を避けているのです。

この構図は、2章1節の夢の描写とも対応しています。2章1節では、夢の中で沿岸平原の谷に咲くユリが登場します。ここでソロモンは、シュラムの乳房の谷間で眠り、夢を見ていることを直接的に描写されていません。しかし、ユリという比喩を用いて表現しました。ユリの谷間は、4章5節で明らかに表現されており乳房の間に位置する景色として象徴的に機能しており、読者は間接的に2章1節を振り返って読むことにより乳房の存在を感じ取ることができます。

この手法により、ソロモンは乳房の描写を夢や比喩を通じて優雅に表現しつつ、読者の想像力に委ねることが可能になっています。ユリの谷と小鹿・ガゼルの関係は、乳房表現と自然の景観を巧みに結びつけ、抽象的でありながら理解しやすい構造を形成しています。