司会は久保純子さん。オーケストラは大友直人さん指揮の東京交響楽団。音楽の喜びをストレートに伝えてくれたステージの模様を、演奏の順を追ってお伝えする。
可愛らしいウェイトレスの衣装に身を包んだ亀井小瑚さん(9歳)は、ピアノで自身の作品《まちかどの小さなカフェやさん》を、フルートの奥森響子さん、アコーディオンの田ノ岡三郎さんと共に演奏。
どこかパリの街角を思わせるおしゃれで心浮き立つ曲の中に、アコーディオンの音色がノスタルジック。
高松未夢さん(12歳)の作品《夏祭り》は、酒井大夢君(12歳)とのピアノ4手連弾。夏祭りのお囃子を彷彿とさせるリズムとメロディーが新鮮。中間部からは叙情的で懐かしい調べも聴こえてきた。
石塚友里愛さん(13歳)の作品《ペリジーフルムーン》は、果てしない夢と希望が広がるスケールの大きい作品。エレクトーンからは、心癒される美しい音楽が流れる。
窪田大志君(12歳)のエレクトーンによる《リンク》はジャジーな世界全開! とても12歳とは思えない大人びた感性!毎日どんな音楽と接しているのだろう?
ここからはヤマハ音楽教室出身アーティストとオーケストラとの共演。
エレクトーンプレイヤー渡辺睦樹さんは、11歳の時の作品《コミカル・トレイン》を演奏。オーケストラの迫力と共に永遠の小年時代が甦る。
続いて、映画・CM・テレビ番組等の音楽を手がけ、国際的にも活躍する作曲家大島ミチルさんの3作品。
NHKの連ドラ『あすか』のテーマ曲は、上野耕平さん奏でるサックスの美しく切ないメロディーが心に染みる。
オーケストラによる、映画《ゴジラVS.メカゴジラ》のテーマ曲は、ゴジラの足音がリアルに伝わってくる!《アルトサックスと管弦楽のための断章より第1楽章》は、現代人の孤独感、不安等が洗練された手法で表現され、上野さんのサックスが秀逸。
さて、コンサート後半は、上原彩子さんのチャイコフスキー《ピアノ協奏曲第1番》。2002年第12回チャイコフスキー国際コンクールにおいて、第1位を受賞した折の演奏を筆者はモスクワで聴いている。
以来彼女はこの作品を何十回となく演奏してきたことであろう。
そしてそのつど新たな音楽の発見を経験しているのではないだろうか。
そのことが当日の演奏からもうかがい知れた。
音楽への情熱と献身が、一音一音、ひとフレーズひとフレーズから伝わってくる演奏であった。
(藤巻暢子)
![ヤマハガラ集合](https://stat.ameba.jp/user_images/20160708/17/chopin-magazine/d3/94/j/t02200147_0800053413692436874.jpg?caw=800)
楽器やジャンルの垣根を超えた個性あふれる演奏会となった
![上原さん](https://stat.ameba.jp/user_images/20160708/17/chopin-magazine/58/66/j/t02200147_0800053313692436873.jpg?caw=800)
上原彩子さんは赤いドレスを身にまとい、美しくチャイコフスキーの《ピアノ協奏曲第1番》を熱演!