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叩け天国の扉

数年前に2度見た映画が頭をよぎってよぎって

仕方がないので借りてきた。

「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」

若いのに病気のため余命いくばくもない

マーチンとルディは

まだ見ぬ海を目指して病院を抜け出す。

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』


病院から抜け出すのに盗んだ車はギャングのもので

ギャングから追っかけられる羽目に。このギャングが

情けなさ炸裂の2人組、しっかりボケとツッコミの

役割分担ができている。


死期が近いせいか、元来の性格からか、

銀行強盗やらなんやら破滅的行動をとりまくる

マーチンとそれをなだめる気弱なルディ。

この主人公達も役割分担がある。


強盗をしてしまったためにギャングだけでなく

さらに警察からも追っかけられることになるが、

ここでもボケとツッコミ的2人組が登場。


3者揃って三つ巴でドタバタ劇で話が進んでいき、

それぞれのボケ加減が微妙に面白く和むのだが

ところどころにある病気の描写が

二人のラストランであることを思い出させる。


島国日本だと、海を見たことないって何だそりゃ、に

なるわけだが、舞台が殆ど内陸地のドイツなので、

一生海を見ない人もいるのかもしれない。

「天国の流行は雲に腰掛けて海の話をすることだ」

マーチンはルディに海の青、サンセットの赤を見事に語り

「でもお前は見たことないから話の輪には加われない」

なんて意地悪なことを言う。

でも本当は、マーチンはルディ以上に海を見たかった。

マーチンの豪快さや自暴自棄とも取れるような行動は

自分の死に対する恐怖を覆い隠すものだったのだろう。

一方気弱に見えるルディは揺るがない芯を持っていて

この二人は表面上での立場と、心理的な立場が

実は逆転している。

それは最後に交わした二人の言葉に表れている。

ドイツからオランダへ抜けて海岸へ。静かな海ではなく

ゴオゴオと風が吹く荒い海を終着点にしたのは

死期を悟ってから走り続けた彼ら二人の生き方を

締めくくるのに相応しい選択だったと思う。

二つの背中を映したラストシーンは

映画と同名の名曲が加わり印象深い。


自分にああいう連れがいたら、と思ってしまう。