『潮音』5月号の「探照燈」潮音集Ⅰより
書初めの命ひとつの短冊を厨の壁に 始めの一歩
小林幸子
一人でも刺さつてくれればいいのです自分日記の短歌を続く
松山裕子
安達太良の雪降りやみて樹々の間に智恵子愛でにし青き空見ゆ
野村 勝
玄関フードの玻璃に隈無く描かれし氷紋アートに見惚るる朝明け
佐藤智三
教科書に墨ぬりをせしかの年に民主主義とふことば知りたり
水口ミキ
「おはよう」と声かける友に安堵せり朝霧に熊かと互ひにおびえ
伊藤悦子
『北島の島』のめぐりは青い海「以下余白」とふ冷めぬ熱もつ
竹口のぶ子
AIが歌作る今宿題にまったく同じ歌提出される
*はなのレイ
蓋を開けカップ麺から出る湯気は食欲そそる魔法のかをり
長利冬道
元旦に武田鉄矢の歌を聴く「スタートライン」吾も踏み出さう
薄田勝美
『白き湾』光子師の歌の学習会弛まず歌を導きたまふ
櫻井萬亀子
メガソーラーいよいよ釧路湿原の危ぶまれゐるキタサンショウウオ
村山幹治
〈戦争の親玉〉歌うボブ・ディラン死の商人への非難鋭し
*山田 洋
〈ああ時間が溶ける〉と嘆く学生にスマホを置いて空見ろと言ふ
田中美紀子
一人の不在の椅子もそのままに娘らと食卓囲む新年
鵜澤美恵子
※「潮音集Ⅰ」は同人の方の作品欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は3月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげコメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。
*は現代仮名遣い。
(編集委員・ブログ担当)
