父と母の結婚記念日に

1日遅れてお花をプレゼント。

 

 

案の定、

本人たちはすっかり忘れていた。。。

 

いや、母は覚えていたような。

 

 

うすい緑のグラデがかかった白いバラと

母が大好きなピンク色のガーベラに

お花を引き立てるグリーンを添えて。

 

 

文字盤で

 

「き」

 

「れ」

 

「い」

 

と指差し、よろこぶ母。

 

 

ほとんど外出しなくなった母は

よほど嬉しかったらしく

 

 

私の帰り際に

 

両手をあげて

口元で「バンザイ」

 

と気持ちを表してくれた。

 

 

 

「そうそう、

このグリーンはたくましいんだよ。

同じ品種を水に挿してたら根が生えてきて

植木鉢に植えると、グングン育ってね」。

 

 

 

そう伝えると

 

「あ」

 

「な」

 

「た」

 

「の」

 

「よ」

 

「う」

 

と文字を指差し、

母はニコッとうなずいた。

 

 

 

「私、そんなにたくましくないよ」

 

 

と心でつぶやきつつ、

 

そう見えているなら

それはそれで、嬉しい。

 

 

 

母は結婚後、

OL勤めから一転して

 

畳を縫ったり担いだりと

力仕事の世界へ。

 

 

 

泣きごと一つ言わず、

家事や育児をこなして

 

毎日、深夜まで

仕事場にいた姿を思い出す。

 

 

 

私がたくましく見えるのは

 

お母さんのカッコイイ後ろ姿を見て

 

育ったからだよ。

 

 

 

ゴツくて分厚かった母の手は

 

ふんわりと柔らかくなって

 

あー、これが

本当の手だったんだ。

 

と思うと、ちょっと切なくなる。

 

 

 

少しでもよくなって

 

残りの人生を

 

自分のために生きて欲しいな。