「私の足、ついてますか?」
12時間の手術から目覚めて、一番初めに言った言葉。
今も忘れられない。
あの日から5年。
もし5年前にタイムトリップできるなら手術前の緊張ガチガチな私に教えてあげたい。
--- 私の足、今日もまだついてますよ
--- ちゃんと生きて、自分の足で、いい旅してますよ
本来なら今日を持ってガン患者卒業、となるはずだったのだが、悲しくも
前回の診察で『延長戦突入』を言い渡されてしまったばかり。
これからいつまで『ガン患者』として生きていくことになるのか、
今はまだ先が見えない。
もしかしたら、『完治』なんてないのかもしれない。
生きてる限りずっと背負い続けていかなければならないものなのかもしれない。
5年前はそんなこと考えもしなかった。
5年逃げ切れば卒業、そう信じていた。
それはすごく重たいことかもしれないけれど、でもいつか
この病気と一生付き合っていく覚悟を決めなければならない時が
くるかもしれないという予感がある。
そのことを受け入れた瞬間に諦めなきゃならないことがいくつかあることも知っている。その覚悟は今はまだない。
だから今はまだ、延長戦の先にいつかある(はずの)『完治』に向かって
今日も一日全力で生き抜くだけだ。
なんて、湿っぽく5年目を迎えるのは本意ではないので少し前向きに方向転換。
とにかく無事5年生きた。この事実だけでも私は嬉しい。
今日が『終戦記念日』にはならなかったけれど、まだたった5年しか闘ってないじゃないか。
闘えば闘うほど自分の命が繋がっていくんだとしたら、私は喜んで受け入れようと思う。
ただ一日を生き抜くことだけ考えてきた5年間は昨日で終わった。
だから今日からの5年間はもっと一日一日を大事にしてあげるべきだ。
人並みに実りある人生を歩んでいくために。
最後に。
とりあえず一つの節目を無事迎えられたこと、本当にありがたく思っています。
甘えん坊ですぐ自暴自棄になる私のような人間が、たった一人でここまで頑張ることは絶対不可能だったことで、いつも誰かに支えてもらいながらやっと辿り着いた5年目です。
今まで見守ってくれたすべての皆さまに心からの感謝と、そしてもうしばしのお付き合いをどうぞよろしくお願いいたします。