ガンという病気はでかい。
治療そのものによる肉体的なストレスもでかいが、リアルな死が突きつけられるという意味での精神的プレッシャーも相当でかい。
この病気が持つ一種独特の威圧感に平気な顔で立ち向かえる人っているのだろうか。
誰かに代わって欲しいと思っても、こればっかりは選手交代できない。
誰かに一緒に闘って欲しいと思っても、この痛みは誰にも伝わらない。
「ガン」という存在がどれだけでかいかも、なった人にしか分からない。
親にも恋人にも分からない。
そんなことをここ数ヶ月で学んだ。
それが分かった上でこんなこというのはおかしいかもしれないのだが、
実家に帰ろうかなと思う。
闘病は独りでやるものだから、もちろん両親はこんな闘病経験なんか持ってないのだから、親元から離れた東京に自分独りで入院して、ここで最後まで治すんだと決めていたが。
今現在、手術も終わり、転移も再発もない。
同時に骨が成長するきざしもない。
ここからはかなり長丁場だ。
骨がくっついて実際に日常生活がおくれるまでに回復するのには半年から長ければ1年はかかるだろう。
この時間を独りで苦しみながら過ごすよりは、実家で元気に頑張ってる姿を親に見せたほうがいいような気がする。
そのほうが安心できるんじゃないか。
これから第二、第三ラウンドがあるかも知れないが、今なら元気でそばにいられる。
闘うのは自分。
それを十分理解してさえいれば、親もとに帰っても無駄に苛立つこともないだろう。
退院するタイミングは今なんじゃないかと思う。