私が赤ちゃんの母で居れるのは、あと2日。
今朝方、早い時間に目が覚めた彼が、私のお腹を撫でながら私を抱き寄せた。
「どうした?」と、聞くと「目が覚めた。」と。
5時頃に目を覚まして、ゴロゴロしながら少し話したり、また眠ったり。
私「赤ちゃんの名前、決めてたんだよ。」
彼「何?」
私「ミズキ」
彼「うん、可愛い名前だね。」
2人「グゥグゥ」
彼「漢字は?」
私「満月 か 深月」
彼「ふぅ~ん。イイね。」
2人「グゥグゥ」
不思議なんだけど、どちらかが眠れなかったり、どちらかが目を覚ますと、必ず目を覚ます。
もちろん「眠れなくてゴメンネ。」っていう気持ちはあるんだけど、互いにそんなに苦にならない。
最近、彼は私が寝ていても、平気で抱き寄せる。起こすことになっても、抱き寄せてキスをしてまた眠る。多分、ほとんど寝ぼけてるんだろうな。
タバコの匂いが苦手になった私に付き合って、禁煙をしている。換気扇の下で吸うようにしていたんだけど、「吸わなくても平気」って、換気扇の下で吸うのもやめて禁煙してくれている。20年以上吸ってきたのに。
どんな時でも一緒に居た。
嬉しい時も悲しい時も、一緒に居た。
互いに、その時の感情をあまり表現してこなかった。
ただ「一緒に居たい」という思いだけで、私達は一緒に居た。
将来の約束も、来月の約束さえも出来なかった。
もちろん不満はあったし、不安しかなかった。
互いの気持ちをわかっていながら、どうしてやることも出来ない時が多々あった。
イライラして不安になって、一緒に居ることが苦しくなった時もあった。
今回こそ、もぅダメだと思った。
もぅ側に居れないと思った。
でも、離れることの方が出来なかった。
泣きながら喧嘩した夜。
私は彼に対して、初めて憎しみを覚えた。
それと同時に、彼の思いを初めて知った。
泣きながら「行くな」と、言った彼の気持ちを初めて知った。
約束が出来ない悔しさ。
希望を言えない悔しさ。
私はもっと、彼のその思いを汲んであげればよかった。
気づいてあげればよかった。
そして、彼は今、私に約束が出来るように。希望を言えるように努力している。
言いたいことも言えなかった。
不満も言えなかった。
それは互いに、無言の圧力だった。
でも、今は。
きちんと伝えている。
きとんと答えてくれる。
一緒に居れるように。
心地よく居れるように。
ずっと一緒に居た。
どんな時も一緒に居た。
嬉しい時も、悲しい時も一緒に居た。
これからも、一緒に居る。
私達は今、互いをきちんと目を開いて見ている。
赤ちゃんの父親。
赤ちゃんに会えなくても、お腹に手を当てて眠る人。
聞こえるかどうかわからなくても、「行ってきます。」って、お腹の赤ちゃんに言ってくれる人。
「お腹の中に居る間に、何処かへ行きたかったな。」って、言ってくれる人。
「産まれてきて、触れあわなきゃ、愛情なんて湧いてこない。男ってそんな生き物なんだろうなぁ。」って、言うわりに、思ってくれる人。
赤ちゃんの父親は、こんな人。