冬が近づいてくると
入院していた頃を思い出すことが
多くなります。
もう4年前の出来事だなんて
ウソみたいに、
ついこの間のことのように感じてしまいます。
っていうより、
忘れたくない
忘れないでいたい
そんな感じなのかもしれません


定期検査で病院に行くと
必ず最後に屋上へ行くのです。
カーテンの中に引きこもっていた私を
Nさんが展望風呂に何度も誘ってくれて
ここに連れてきてくれました。
Nさんは
くるっと私の方へ向くと
「ここで深呼吸すると、とっても気持ちがいいんだよ
」

って
小さなカラダでぐーんと大きく伸びをして
そして
ニコッと笑ったんだった


それからというもの、
いよいよ歩けなくなるようになるまでの間、
何度も何度もこの屋上に来ては
Nさんがしたみたいに
ぐーんと大きく伸びをして
外の空気をいっぱい吸って
大きく手を振りながら
ぐるぐる、ぐるぐる
何周も頑張って歩いた

頑張りすぎて
結局は
フラフラヘロヘロになってしまって
これはヤバイかも
と

K先生に内緒で買った栄養ドリンクを
看護助手さんに発見されて
呆れられたこともあったっけ



...



あの頃、
治療が辛くて大変だったけど
不安と恐怖に飲み込まれそうなときも
いっぱいあったけど
一緒にいた
Nさんや、Sさんや、Iさん、皆んなが
これから先がどうなっていくのか
全く見渡せない状況でもあったけど、
それでも
苦しかったり辛かったりばかりではなくて
心の底から笑いあったり
あったかいなぁと感じたり
ちょっとした朗報に、皆んなが自分のことのように大喜びしたり...
そんな日々でもあったのです。
屋上へ行くと
彼女たちと会える気がして
彼女たちと話せるような気がして
あのときのあたたかさを
また感じられる気がするのです。


この間の定期検査の日も
ここへ来ました。
しばらくしたら
入院患者の男の人がひとり
離れたベンチに座って
ぼ〜っとされていました。
なんだか
あの頃の自分を見ているような
そんな気持ちになって、
もしかしたら
あの頃の自分に会うためにも
ここに来ているのかもしれないなぁ、
そんなことを思いました。
ベンチに座ってるその男性に
私も、同じでしたょ

って、心の中で声を掛けて
Nさん、Sさん、Iさんに
また来るね

って呟いて
そして
もう一度大きく深呼吸してから
帰りのエレベーターに乗りました。


私には
リアルな癌友さんという人は
いません。
正確に言えば
皆んな、空の上にいて
私のことを今もずっと見守っていてくれるのだと
思っています。
きっとニコニコしながら
楽しそうにおしゃべりに花を咲かせながら。
私のことを話のネタにしては
大笑いとかしているのだろうなぁ




正直に言ってしまえば
彼女たちがいたらなぁ、
そう思っては
ほんのちょっぴり涙がこぼれそうになることも
たまにあります



そんなときは
ひとりでお茶しに行って
ぼけ〜っと時間を過ごしたり、
こうしてブログを書いたり
一緒に頑張っている人たちのブログを読んだり
底なし沼で溺れていた私を救い出してくれた
大切な心友の言葉を思い出したり
しています

さぁ、
今週は
仕事で少し遠いところへいくので
その準備をしなくっちゃ。
今、頑張っている人も
頑張れなくて落ち込んでいる人も
ほんの少しでも良いから
泣き笑いだって良いから
ニッコリ笑顔になれる1日となりますように
