毎日新聞の人生相談は、高橋源一郎さん他、何人かで受け持っている。

実は、高橋源一郎さんは、苦手で、いつも、へっとか、思って読んでいるのだが。

今日のは、よかった。

希望を見いだせない社会、ということで26歳の女性からの相談。

大学二年の時に父が自殺し、家族を支えようと思っていた矢先、うつ病に

なったそうで。

 

その答えに。

夏目漱石の芥川龍之介への手紙を引いて。

「どうぞ偉くなってください。

しかしむやみにあせってはいけません。ただ牛のように図々しく

進んでいくのが大事です」

「牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。

人間を押すのです」と。

 

いい言葉だと思う。

そして、今日の仲畑流万能川柳の秀逸句は、

この道でよかった(他は知らんけど) 安曇野 荻笑

である。

 

人生は、一つしか、選べなくて。

自分の人生がよかったと言えるのは、素晴らしいと思う。

 

いいことばかりがあるのが人生ではないけど。

地道な毎日がいいもんだと思う。

 

芥川龍之介が自殺したのは、人生の皮肉と言えるかもしれないが。

 

牛のように超然と、人間を押せという夏目漱石の言葉が染みる。

諦めずに、押し続ける。

それが生きるということかもしれない。