普通選挙という「大正デモクラシー」の果実を取り入れるその時、
皮肉にも、同じ政党内閣の手で、自由を踏むにじる治安維持法が
制定されたのである。
しかも、多くの国民は、早い時期に治安維持法の危険な本質を見極めることが
できなかった。
そして、この悪法は、二年後(1928年)、刑罰に死刑と無期懲役を加えるなどの
”改正”が行われ、「蟻の一穴」のごとく、自由と人権の根幹を食い破っていくの
である。
権力が暴走し、猛威を振るう時には、必ず、思想や信教への介入が始まる。
ゆえに、思想・信教の自由を守る戦いを忘れれば、時代は暗黒の闇の
なかに引きずり込まれることを知らねばならない。
これこそ、時代の法則であり、歴史の証明である。