主人の父は、へなちょこだった。

彼と、義母との結婚は、見合いもなかったそうだ。

遠縁に当たるので、ある日、義母の親に連れられて上諏訪の義父のところに

来て、そのまま、「この人と結婚するんだよ」と置いていかれたと聞いた。

彼女に義父の印象を言わせると、へなちょこな人だなと思ったと。

 

義母の実家は、地域で頼りにされる親だったそうだ。

義母も教師をしていたし、そのころ、好きな人もいたようだ。

彼女が結婚すると知った彼女を好きだった人は、「和子(義母の名)さんを

好きだったのに」と告白したらしい。

 

義父から、夜の交わりを説明受けたときは、びっくり仰天したそうだ。

この人とそんなことをするなんてと。

 

が、その後、4人の子どもを授かったので、よかったと言うべきか。

一人は、若いころ、亡くなったそうだ。

ボート部に入って、将来を嘱望されていたという。

 

ひと目で、へなちょこぶりがわかるのか、私たちの結婚が決まって、

職場の上司が実家に挨拶に来た折、その上司が義父を見て一言。

「反面教師ですね」と。義父は、非常にショックを受けていた。

そんなことを言う上司も上司だ。

 

いろんなことが思い出される七夕だ。

 

が、そんな彼のクリーンヒットは、初めて、主人の実家を訪ねた折、

「雄二(主人の名)をお願いできますか?」と聞いたことである。

私は、そんなにタイプでもなかったのだが、「はい」と即答した。

 

それが、プロポーズになった。

主人からは、プロポーズはなかったように記憶している。

 

主人はタイプではなかったが、結婚してみると、誠実なことと穏やかなことが

とても、よかった。

それが、今日まで、気が荒い私が結婚生活を続けられた理由かもしれない。

 

人生万事塞翁が馬かもしれない。