彼は、恋人も友人もいない。
唯一の知人は、ときどき、えさを食べに来る野良猫の孝子だけである。
彼女が来ると、そわそわして、いるので、外に出てみると、孝子がいる。
太郎を外に出してやると、嬉しそうに、孝子とじゃれ合っている。
犬よりも猫と合うようだ。
そんな太郎は、外の町を眺めるときがある。
そんなときは、そっと、しておく。
彼には、町での辛い思い出がある。
そんな日々を思い出しているんだろうかと。
最近、アマゾンで買ったブラシが気に入らないので、彼のブラッシングに
使っている。返品しそこなった。封筒がどれだか、わからなくなったので。
いかんいかん。
が、犬にはいい。
美容師さんから、「ときどき、ブラッシングしてください」と言われているので。
彼女は、太郎と仲が良いので、気になるのだろう。
怒られてはいかんので、ときどき、ブラッシングしている。
それも、美容師さんが迎えに来る日が近づいたときだけだ。
バレるかしらん。
