20年以上前に、群馬の桐生に一年ほど住んでいたとき。

古本屋さんで惹かれて買った藤田嗣治の本。

表紙裏のクロッキーが素敵。

当時で1万円したので、私には高かった。

 

桐生は、先代の犬の大が居た。

彼との思い出は懐かしい。

太郎に比べ、やんちゃであり、或る夜、逃亡したこともある。

鎖が足に絡まって痛がっていたので、慌てて、外そうとして、鎖が解けてしまった。

彼は、とても、嬉しそうな顔をして、夜の闇を走り去った。

その時の笑顔は今も鮮明だ。

 

心配性の主人は、車に轢かれると思い、沈痛な顔をしていた。

 

夜中の2時頃だったろうか。

外の小屋がガサガサするので、出てみると、大が帰って来ていた。

ゴミ箱を漁ったのか、体中が生ゴミ臭かった。

 

彼にとっては、楽しい冒険だったことだろう。