もうひとつ、知り得た知見は。日本を代表する社会学者として人類の未来を見つめてきた見田宗介さん(東京大学名誉教授)。

 

危機に直面する現代社会は、どこに向かうのか。未来を切り開いていく上で、大切な哲学や価値観とは何か。

 

この質問に答えて。

 

最後にこう語っている。

 

1980年代以来行われてきた大規模な「世界価値観調査」は、驚くべき結果を示しています。80年代に世界で最も早く経済成長課題の達成を完了して、脱高度成長社会として成熟してきた西・北ヨーロッパ(フランス、イギリス、ドイツの旧西独地域、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)の地域では、若い世代の間で「非常に幸福」と感じている人々が、着実に一貫して増え続けてきたのです。

この世代が、具体的にどのようなことに「非常に幸福」を感じているのか、2010年にフランスで行われた、若い世代の「非常に幸福」の内容を追求して問う調査は、さらに考えさせられる内容でした。

その「非常に幸福」の具体的な内容は、カフェでの友人たちとの会話、波に飛び込む身体の感覚、背中に触れる恋人の指の感触、樹々を渡る風の感触、夕食後に家族の会話、等。特に新しく「現代的」な幸福のかたちがあるのではなく、身近な人間との交流や、自然と身体との感触など、人間の歴史の中で以前からよく知られている、<幸福の原層>ともいうべきものばかりでした。

同時にそれらは、大規模な世界環境の搾取を必要とすることもなく、大規模な環境の汚染解体を帰結することもないものばかりでした。

 

聖教新聞2022.1.7.より抜粋しました

 

要点をうまく、まとめられず、すべてを写したものですが。

 

つまり、人々の幸福とは、環境を破壊的に壊さなくても、得ることができるという結論でした。

さりげない日常が幸福をもたらすというのは、希望に満ちた未来社会が展望できるのではないでしょうか。