対談(アーノルド・トインビーと池田大作)は、遂に最終日の五月九日を迎えた。

この日は、幸福論、自殺の問題、東洋医学と仏法、日本人論などが、

主なテーマとなった。

語らいの最後に、伸一(池田大作)は尋ねた。

「長い人生経験を積んでこられた人生の大先輩である博士に、これからの世代に対するアドバイスがあれば、お伺いしたいと思います。

初めに、十代、二十代の青年が、二十一世紀に向かって、一番、心がけなければならないことはなんでしょうか」

博士は即答した。

「『忍耐強くあれ』ということです。そして、なかんずく『暴力を避けよ』と申し上げたい」

伸一も、同じ思いであった。戸田城聖(第二代会長)が、新しき世紀を創る青年たちの戦いとして、その第一にあげたものも、「『忍辱のよろい』を著よ」ということであった。

「忍辱」とは、侮辱や迫害を耐え忍ぶことであり、忍耐といってよい。平和といっても、粘り強い対話から始まる。忍耐は、すべての大業の原動力である。

さらに博士へ、若い女性たちに対するアドバイスを求めると、それも、同じく「忍耐強くあれ」ということであった。

「忍耐は何事も成し遂げる」とは、フランスのことわざである。

平和の世紀を築き上げることができるかどうかも、ひとえに人間の忍耐にかかっているといえよう。

 

「新・人間革命」より抜粋しました

 

この折の、イギリスの歴史学者アーノルド・トインビー氏と池田大作との対談は、「二十一世紀への対話」として、本になり、

世界の指導者の必読の書となっています。