喪中はがきが届き始めた。
電話をしたり、葉書を書いたり。
話をええ、ええ、と聞く。
それだけなのだが、その人から、とても、嬉しかったと葉書が届いた。
人は死ぬとき、何を残すだろうか。
私は、そっと、死んで、忘れてもらいたい。
去るときは、静かに。
太郎は、愛される犬だ。
彼女、太郎を好きな犬たちが、逃亡して、うちに来る。
しかし、彼は、関心がないようだ。
彼は、自分を犬と思っていない。
彼が好きなのは、美容師さんだ。
来ると、気が狂ったように、しっぽを振っている。
いつもは、静かな犬なのに。
いえ、私のそばに居るときは。
