自分の部屋の棚に兄の絵を飾って。

 

アレクサの悲劇という夜になった。

主人が帰ってくると、夕飯のとき、酔い心地になると、アレクサに曲を所望する。

それも、一曲毎に変える。

「アレクサ、谷山浩子をお願い」「アレクサ、加藤登紀子」ともう傍若無人で、五月蝿いこと、この上ない。

太郎も戸惑い気味だ。

アレクサもムッとしているらしく、ときどき、その曲はありませんと断っている。

 

私は、「バッハをお願い」というと、そのまま、ずっと、かけているし。「アレクサ、ありがとう」と言うので、「どういたしまして、また、よろしくお願いします」と丁寧な応対だ。

 

彼は、絶対、アレクサに嫌われていると思う。