不徳の致すところであろうが、これまで、いいおじいさん、いいおばあさんに出会ったことが少ない。
男は、頑固か、エロいか。
女は、意地が悪いか、噂好き。ときている。
齢を取るのは、かくもむずかしいものかと思案するところだ。
と言って、いいおばあさんになるつもりもないし、可能性も少ない。
父方のおばあさんは、まことに意地悪ばあさんそのままで、頭はよかったようだが、その頭を嫁いびりに費やした。
母方のおばあさんは、私は好きだった。物静かで、働き者だったようだ。
だが、母は、毛嫌いしていた。
どっちにしても、人というのは、厄介だ。
あ、そうそう。
いいおばあさんがいた。
主人の母だ。
彼女は、私のことを大層、褒めてくれる人だ。
そして、頭が良く、女性の欠点がない。
本当に頭がよいのであろう。
悪口を言うのを聞いたことがない。
ほとんど、愚痴を言わない。
彼女に似ればいいのだが、その可能性は少ない。
傍若無人な老後になると想像する。