もっとも、深刻な事態になりやすい『犬の攻撃行動』
身の安全を脅かされるというのは、動物にとって共通したストレスです。
その上、一緒に暮らしている犬が、予測不可能な噛みつきをすることは、深刻な事態に陥いってしまうことでしょう。
わたしは、犬の攻撃行動に悩んでいる飼い主さんのカウンセリング を行う事がありますが
ほぼ全員『犬に本気で噛まれてから初めて相談をする』という飼い主さんです。
当然といえば当然なのですが
噛む行動が一度でも起こった時点で、犬はそれを学習することになります。
つまり、相手を噛むことで「自分の安全が確保できた」「ストレスを軽減できた」という経験をすると、また同じ状況になると噛んで解決しようとするということです。
🐾犬は突然に噛むことはない
カウンセリングの際に
「今ままでは平気だったのに、最近、突然噛んでくるようになりました。なぜですかね?」
こう話される飼い主さんが多くいらっしゃいます。
ですが、犬は突然噛んだりしません。
おおよそ、噛むという行動は最終手段です。
その行動に至るまでに、犬は何度も何度も「嫌だな」というシグナルを発しています。
にもかかわらず、それらを全て無視されたので、最後の手段として「噛む」という選択をするのです。
つまりは、飼い主さん目線だと平気でさせてくれていたことも、犬目線だと、今までガマンしていたということになりますね。
この勘違いによって噛まれてしまったのです。
では、犬は噛むに至るまでに、どのようなシグナルを送ってくれていたのでしょうか?
🐾犬がストレスにさらされると見せる『11』のシグナル
犬には、ストレスや脅威を感じるときに見せる反応があります。
それは、軽度の小さいものから、はっきりと分かるものまで様々です。
例えば、アカの他人が近づいてくるシチュエーションで見せる反応には、このような反応レベルがあります。(*他人に対して社会化不足だと仮定します。)
【他人の接近】
レベル1: あくび、まばたきをする。自分の鼻を舐める。
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レベル2: 顔を背ける。
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レベル3: 体を背ける。座る。前脚をあげる。
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レベル4: 遠ざかる。
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レベル5: 体をすくめ、ゆっくりと動く。耳を後ろに倒す。
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レベル6: 身体を低くし、尻尾は股の間にいれる
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レベル7: お腹を見せるように横たわる。
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レベル8: 体を硬直させる。凝視する。
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レベル9: 唸る。
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レベル10: 噛もうとする。空噛み。
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レベル11: 噛みつく
こうした行動の目的は、脅威をそらし、調和を取り戻すことにあります。
他人が近づいてくるという脅威にさらされた犬は、
まずは、レベル1〜7の相手をなだめる行動を見せ「自分に敵意がないこと」を示し、安全に脅威をそらそうとしています。
このときに、相手の人がそれを理解して立ち去ったり、飼い主さんが回避の手助けをしてあげることで、犬は安心を取り戻します。
しかし、相手の人がそれを理解できずに、手を伸ばして触ろうとしたり、飼い主さんがリードを持ったまま動かなかったりすると
レベル8以上となり
「これ以上の脅威は排除しなければ!」へと変わっていきます。
犬は、いよいよ切羽詰まっている状態ですね。
こうした仕草は、その時の状況や相手の反応によって変化します。
🐾『予測不可能な攻撃行動』は飼い主が引き起こしている
これらの相手をなだめる仕草は、群生動物である犬たちがもつ、高度な適応能力です。
日常生活でごく普通に使われています。
そして重要なことは、
レベル1(まばたきやあくび)のシグナルを相手に送っても、期待した結果が得られない場合のみ、次のレベル(顔を背ける)に上がるということです。
そして、軽度のなだめ行動を見せているのに、相手が適切でない反応を繰り返すと、その行動をする意味が徐々になくなっていきます。
そのため、レベル1〜7までのシグナルをすっ飛ばして、即座に唸ったり、実際に噛みついた方が犬にとっては効果的となるのです。
これが「なぜ突然噛みついてくるのか?」の答えになります。
犬の視点から言えば、「ただ脅威を安全にそらしたい」それだけです。
しかし、どんなに非攻撃的なシグナルを送っても、正しく理解されず、適切でない反応が返され、一方で、唸ったり噛んだりすると脅威は即座になくなる。「じゃあもう、いっそのこと、はじめから唸ったり噛んだりした方がいい」となるのです。
その結果、完全に予測可能であった攻撃行動が、前触れのない、いわゆる「予測不可能」な攻撃行動へと変わってしまうのです。
予測不可能な攻撃行動を起こすようになると、一緒に暮らす上で、非常に高いストレスとなり
犬と人の双方に悪影響を及ぼすことになります。
そうならないためにも
上記11個のシグナルを理解し、はやい段階で脅威をなくしてあげて、攻撃行動を起こさずに済むようにしてあげましょう!
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プロフィール
【チョコモフ】です。(本名:兼古 ゆうき)
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年間500頭以上の犬を扱い
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行動分析学、心理学、動物行動学などを基盤として手助けをおこなっています。
●警察犬訓練所を卒業後、独立したが罰を用いたトレーニング方法では、お客様だけでなくワンちゃんも良くしてあげることができず、悩んでいたところ
「ドッグビヘイビアリスト」という存在を知る。
当時は日本に5人程しかおらず、ドッグビヘイビアリストの認定を受けるには困難が多かった。
寝る間を惜しんで勉強することで、はれて認定ドッグビヘイビアリストとなる。
http://www.dbca.jp/index013.html
【ドッグハウス〜悠〜】という店名で、ドッグホテル・グルーミングサロンの営業もおこなっています
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