ウイークリーえひめリック「直行のよもだ的日本征服宣言」第7回 | 脚本家酒井直行の新よもだ的どこか征服宣言
ウイークリーえひめリック掲載
「直行のよもだ的日本征服宣言」第7回


愛媛新聞社のウイークリーえひめリックに

かつて掲載していたエッセーの再載です。

日本征服宣言returnsの第7回は、
2006年12月14日号掲載分です。


さて、朝4時にガバッと起きて執筆活動
に入った僕であるが、6時には一旦パソ
コンの前を離れなければならない。


なぜって?

そりゃあ、毎日、家事をするために決まっ
ているじゃないですか!

まずは、7歳(当時)の一人娘のためのお
弁当作りと家族の朝食作り。

娘の通う私学の小学校には給食がない。
保護者が作るお弁当が、食育に深く関係
するとの考えを、明治時代から推奨して
いるからなのだそうだ。

お弁当の準備が整ったら、娘を起こして、
朝食を食べ、娘を学校に送り出して、
ゴミを収集所に持っていったら、ようやく
執筆活動を再開。

まるで主婦のようでしょ?

…そうなのだ。

我が家では、掃除と洗濯物を畳む以外は
僕が家事を担当している。

といっても大層なことをしているつもりはない。

元々、食事を作るのは大好きだし、

洗濯物も洗濯機に放り込めば、
乾燥までやってくれる。
食器洗いも機械に任せている。
だから全然苦じゃないし、むしろ楽しい。




【午後からは仕事にならない】

昼食を挟んで、午後も夕方まで
ずっと執筆を続けるわけだが、
お昼前後からは、プロデューサーや
出版社編集者からの電話がひっきりなしに
かかってくるので、原稿はあまりはかどらない。


脚本家仲間には、執筆中は携帯の電源を切り、
家の電話も留守電にして、
書き終わるまで絶対に電話に出ないという人
もいるのだが、根が小心者の僕にはそんな
真似は到底出来ない。


だって、僕が電話に出なかったばっかりに、
そのかかってきた電話の内容が急ぎの仕事
依頼だったりして、
「なんだ、酒井くんは留守かあ。
仕方ない。別の人に回そう」と、
仕事を一つ失うかも知れないのだから。

反対に、どんなに締め切りが重なっていて、
これ以上、仕事量は増やせないぜというぐらい
忙しい時でさえ、僕は、新しい仕事依頼の電話が
鳴ると、「暇で暇で、飢え死にするところだったんです」と
嘘をついて、新しい仕事を引き受ける。

過去にそれで、鬼のような締め切り地獄を
数回味わったけど、なんとかなったし、
いや、それどころか、そういう超過密
スケジュールの中で書いた作品の方が
評判がよかったりするのだから不思議である。





【夕方からは娘中心の生活に】

そうこうしている内に、娘が学校から帰宅すると、
もう仕事にはならない。


一緒に遊んで、一緒にビデオ観て、
一緒に宿題して、一緒にお風呂入って、
最後は一緒に寝る…。

この毎日である。


その間に、夕食の支度をして、後片付けして、
お風呂洗って…と家事もやりながらなので、
原稿は全く進まないわけだ。

床に就くのは娘と一緒だから、大体9時前後。
でも眠っても1時間ほど。

娘を寝かしつけたら、すぐに起きて深夜0時
ぐらいまで執筆を続ける。

翌日はもちろん4時起き。

睡眠時間は短いけど、
若い頃(酒屋の若主人やってた頃)、
ずっと昼寝してたから、
その時の寝溜めした分が
あるみたいで全然平気です。


次回は、「デビューの思い出」。

今から16年前のお話を少し…。


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うーん。
今から、6年前のエッセーなんですが、
現実(2012年現在)は、だいぶん違いますね。

まず毎朝4時には起きられません。
(お弁当は、相も変わらず、
中学1年に進学した娘の
ために、早起きして、毎日作ってますけど)

この頃の僕、結構、頑張ってたんだなあと
しみじみ実感。