私は介護施設で働く、ただのパートである。


その立場を弁えた上で


思った事を徒然と書こうと思います。


無論個人情報保護もしっかり考えて。


私の施設には、とあるおばあちゃんがいる。


施設はショートステイやデイサービスもやっている。


その方は99歳。


デイサービスに来ていたが

いよいよ家で生活が難しくなり


一旦ショートステイを利用することになった。


サ高住や、老人ホームを今、待ちの状態で

ショートステイにロングステイしている。


ショートステイは

通常、家族が旅行に行ってる間や

帰省してる間などの短期の利用だけど


ショートのロングステイも、多いのが現状だ。


そのおばあちゃんは

娘が80歳手前で

娘も介護がそろそろ必要な年齢。


いわゆる、老老介護というやつだ。


母親が家で危ない、転倒リスクが高まった、

自分も身体が大変な為

やむを得ずの利用だ。



その99歳の利用者(ここからはAさんと呼ぶ)は

もう半年以上うちにいる。


私の働いているショートステイは

あくまでも「ショートなステイ」が目的なので

外に出られない。


認知症のステージも高い人も多いため

1分前にお風呂に入ったことさえ忘れてしまうや、

人の部屋に自分の部屋と勘違いして寝られる方や

食事も自分では出来ない方もいるため

全ての外に繋がるドアは、暗証番号がないと開かない。


ショートなステイ故

各部屋にテレビがあるだけで

娯楽もほとんどない。


万年人員不足で

レクリエーションをする人間も足りないので

トイレ介助、入退チェックにお風呂介助、

部屋掃除でスタッフもいっぱいいっぱい。


Aさんは認知症ではない。


認知症ではないが故に

何故自分はここにいるのか

はっきり分かる、


だからこそツラい部分がある。


私は将来

明るい認知症になりたいかもしれない。


って思うくらい、

頭がクリアで身体がいうこときかない方は、

人に迷惑をかけてると感じたりして、

それはそれでつらいのだ。



Aさんは、私はとても仲良くしてくれて

私の顔を見るたびに、泣く。


はじめのうちは


「娘に迷惑かけられないから

帰りたいなんて言えないけど

本音は帰りたいのよ」


って話ししてくれた。


うんうんそりゃそうだよね。

と聞いていた。


あまりワガママを言う人ではない。


でも最近は

大粒の涙を溜めて

わんわん子供のように泣きながら


「本当に何もいらない、娘も世話してくれなくていい、ご飯もいらない、餓死してもいいから

全部自己責任でいいから、家に帰りたい。」


と、おいおいと大泣きをされる。


だから会うのがツラくて仕方ない。



私はただのパートなのだ。

どうする事もできない。


けど、実はそのAさんの家


私の家の目と鼻の先の所にある。


もう、いっそこのまま

車椅子に移乗させて

連れて帰ってやろうか。半日くらい。

って思う事がある。


勿論実際にはやらないけど


うちの施設のケアマネさんに

「Aさん帰りたいって。おいおい泣いてる」

って伝えたけど


「返したら娘さんに怒られちゃう〜」


うん、そりゃそうだ。


返ってくる答えは分かってる。


娘さんは

お母さんに少しでも長生きして欲しくて

うちに大事なお母さんを預けてる。


でも、

ずっと一緒にいると


利用者とご家族の希望が、こんな感じで

まるで違うことがある。よくある。



私は昔、

自分の結婚式を挙げると決まった時に

祖父の癌が見つかった。


仕事しながら式の準備をしながらも

毎日お見舞いに行った。


余命が3ヶ月と言われたが

式は6ヶ月後だった。


私は式を早めようとした。


が、父に止められた。

「祝い事は日にちをあまり変えない方がいい。

それにおじいちゃんはその式に出る為に頑張るから余命が伸びるよきっと」

と言ってくれて

日取りは予定通り6ヶ月後にした。


後から聞いた話だが

胃がんからの肝臓がん転移で

ほとんどの胃を切除したのにも関わらず


おじいちゃんは私の結婚式まで

食べたくない食事を必死に食べてたらしい。


それをずっと見てた看護師さんらが

結婚式の当日、

みんな泣いて送り出してくれたらしい。


式終わり、

そのまま病院に直帰したおじいちゃんは

そこから一切食べなくなり


翌日からハネムーンに行っていた

その間に亡くなった。


それを、

大泣きしているAさんをさすりながら、

ふと思い出した。


愛ってなんだろう。


愛は時に人を傷つける。


しかも、誰も、悪くない。


Aさんの泣いている姿を見たら

私が娘なら、どうするだろう。


面倒見てあげる体力もない

でも本人は家に帰りたがっている。


福祉って、なんだろな。


誰を幸せにするんだろうか。

幸せになってるんだろうか。


長生きって幸せなのだろうか。



今日は他にも

数年前に急に目が見えなくなったおじいさんもいた。


介護施設っていうのは

誰も人に世話してもらいたくて

誰も来たくて来てるわけではないのだ。


楽しそうー!生き甲斐!

ってなるのは、デイサービスまで。


家に帰れることが幸せなのだ。


だからショートステイの仕事の日は

デイサービスの仕事の日より

私にとっては少し覚悟が必要で

結構気合を入れて仕事場に行く。

(たかたがパートだけど)


来たくて来たわけじゃない人達


ならばせめて、少しでも笑って過ごして欲しい。


反面、

そんなこといちいち考えながら働いてたら

身が持たなくなるし

周りの職員さんの温度差も考慮しないといけない

というか、

医者がいちいち感情移入してたら

診察時間がかかって仕事にならないのと同じで

ある程度機械的にというか

淡々と働かないといけない事もある。



けど泣いてるAさんを見てると

ツラい。


いつもは私のおふざけに

笑ってくれてたんだけど

最近は私のおふざけが、もう効かない。


Aさんとは女子校のノリで

お互いのおっぱい揉み合うくらい仲良しだけど

どうやっても家族の代わりにはなれない。

私がAさんの寂しさを完全に埋めてあげる事は出来ない。


家に帰って亡くなっても

私は正直、いいじゃないって思うけど

それは他人だから無責任な発想なんだろうな。


自分の母なら、

それが母の希望だとしても

ほっとけない。


それが愛。


愛って、ややこしい。