「パチーン、パチーン」鳴り早朝から乾いた音が。
何年ぶりだろう?長男とキャッチボールをしたのは。

その前日の夜、長男から話がありますと 言われました。
直立したまま重い口を開きました。
「すいません。背番号もらえませんでした。今まで10年間本当にありがとうございました。」 

思いがけないセリフ・・・・と思うことなくここ数日の雰囲気である程度は予想していました。
そしてこちらも寝れないくらい考えていました。

高校野球を始める前は、「甲子園だけが高校野球ではない」と言う本をすすめられても、「そんな結果の伴わないのなんてみとめないし、敗者のたわごと」だと思い、逆にもしドラの「結果を出すことが大事であり、プロセスに満足せずしてはならない。」に共鳴していました。

高校に入りレギュラーから外れた時には「息子に雷をおとし、努力が足りなんだよ、やることやってないから、空いてる時間を無駄にしすぎだ、遊んでる時間があるからだめ。」とか言っていましたね

10年の月日、近くで長男を見続けたました。

長男を抱き寄せ私から結果出た言葉は「終わっちゃったね。お疲れ様でした。今まで本当にがんばったね。ただここ数日色々考えていたんだ。お前は頑張ったけど、俺は本当にやることをやってあげられていたのか?もしこの仕事ではなく練習の日にちゃんちゃんと俺がお手伝いしていたら中学、高校と監督さんに好印象を持たれ使ってもらう機会がちょっとでも増えたんではないか、君に対して全くしてあげられなかったと思う。本当にごめんね。」


もちろん必然と涙がこぼれてきました。それを見た長男の目からも涙がこぼれていました。

「時間がって最後に気が付いたことは本当にやることをやっていないのは自分だということ、
ものごとに一生懸命取り組んでいる子供に付き合う時間にかえられる時間が絶対に無いという事。」


久しぶりに肩を震わせ泣いた次の日10年間の終わりを告げる音が公園に響きました。




田山 雅哉