住宅しかない住宅街を通りすがりながら | ちょいと、戯れ言横丁・テーマトーク館

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春原圭による、よろず文章読み物ブログです。読んでくれた皆様との忌憚ない意見交換を重視したいと考えておりますのでよろしく。









 自宅を出て、本来の最寄駅の逆方向へ歩くこと18分のところに別の鉄道会社の駅がある。現在僕は業務の都合でこちらの方の駅を使うことの方が多く、駅までの長い道のりをテクテク歩いている──距離が長いのもそうだが道中はほとんどが住宅地で、店とかはあまりなく、ほとんどがありきたりな戸建住宅で時々低層マンションという光景が続いている。
 そんな中にポツンと喫茶店が1件あったのだが、5年前に潰れて取り壊されて、そこには新たに建売住宅ができた。その翌年あたりには少し大きめの食品店が閉店し、跡地はやはり建売住宅が3件できた。そしてついこないだ潰れた新聞販売店の跡地も、やはり平凡な建売住宅になった──わずかに残った牛乳販売店と、農家のおじさんがやってる自家栽培野菜の販売店も、雰囲気的に廃業は時間の問題か? で、跡地はやはり何の変哲もない建売住宅になるんだろうな…。
 町内に2、3件ある食品スーパーはそのエリアの徒歩圏内ではあるが、10分ちょっとの距離がある。最寄りのコンビニやファミレスなども同様で、なおかついずれのお店も交通量の多い道路沿いにある。ちょっとおやつと飲み物買いにスウェットとサンダルで出かけたり、ちょっと一杯飲みに出てくるには不向きといえよう。買い物難民とまでは言えないが、決して便利ではないのは間違いない──
 生活の当事者として考えても「不便だな」って感じであるが、通勤で歩いて通りすがるだけの立場で見ても、立ち寄る場所が全然なくただ歩いて通りすがるしかないというのは、不便でもあるし面白味もなく思えてしまう。住宅街の中の喫茶店とか一杯飲み屋とかは近所のおじさんやおばさんたちが集まる親睦の場としての役割も果たしてるわけで、それらが全然ないこのエリアの人たちは、どこで親睦を深めてるのだろう。公民館や集会所の類もエリアにはないようだし。農家の多い地区でもないから互いの畑の野菜をおすそ分けしたりされたりの行き来の時に縁側でお茶飲みながら世間話、なんてノリの付き合いもないようだし──都心に通勤する旦那さんや学校でクラスメートたちと顔合わせる子供たちはともかく、専業主婦の奥さんや高齢者さんたちはどうなんだろう…。なんか、人間関係が希薄になってく一方な気がするのは、僕だけでしょうか?
 本来の最寄り駅への道中にはコンビニも酒屋も美容院もあって…、と書き始めてハタと気がついた──住宅しかないその住宅街には床屋や歯医者、マッサージのたぐいももちろんないんだ。これ人間関係が寂しいとか面白味ないとかの次元ではなく、もっと切実な問題を孕んでないか? 住宅街といえども最低限の施設は、足腰の弱った高齢者もいることを考慮すればせめて徒歩10分以内で行ける場所になければ、いくら住民がたくさんいても、果たして街と呼べるのだろうか。
 ま、通りすがりの他所者目線ですけどねw