横綱は横綱として君臨してほしいのだが | ちょいと、戯れ言横丁・テーマトーク館

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 先の秋場所は、やはりコロナ対策で観客の入場もかなり制限された状態での開催となったが、皆さんご存知の通り関脇正代が熊本県出身力士として初めての幕内最高優勝を手土産に大関に昇進し、今場所が新大関の場所となる。その正代と最後まで優勝を争ったのが新入幕の翔猿。年齢は28歳と決して若くはなく、入幕までは少々足踏みしたが、ここで一気に開花した感じ。今場所は幕内上位との対戦も多く組まれるだろうが、果たしてどのくらい活躍してくれるだろうか…。他にも若隆景や阿武咲などの新進気鋭の若手力士も終盤まで優勝争いにからむ大活躍で、将来が楽しみである──
 もちろん両大関も最後まで土俵を盛り上げた。貴景勝は最後まで優勝争いにからみ、直前の取組で正代が翔猿に敗れていれば3人での優勝決定戦だったし、初日からいきなりの3連敗で心配された朝乃山もその後10連勝で優勝争いの一角に食い込んでいた。若手や平幕が大活躍した秋場所で、大関としての面目は十分保てたと言えるだろう──あと、残念ながら途中休場してしまったが照ノ富士も途中まで優勝争いについていくなど復活ぶりをアピールし、霧馬山も途中の休場がなければ優勝争いをさらに面白くしてくれたはずである。
 そんな秋場所は、非常に充実した場所になったと言いたいところであるが、残念ながら手放しで褒めるわけにはいかない…。はい、両横綱、白鵬と鶴竜がいずれも初日から全休だったからである。2人とも7月場所に続いての休場である。いずれもケガの状態がかなりひどく、とても相撲を取れる状態ではなかったという。他にも上述の照ノ富士、霧馬山だけでなく石浦や琴奨菊、遠藤、豊山と休場力士が何人も出たり、玉ノ井部屋ではコロナのクラスタが発生してしまい師匠も含めて部屋の全員が休場というありさま──そんな状況の秋場所を目一杯盛り上げた正代や翔猿たちの大活躍というプラス面により目を向けるべきなのかも知れないが、やはりこれだけ休場者が多く、両横綱もその中にいるという状況は、やはり総合的にはマイナス評価せざるを得ないだろう。
 秋場所後に開かれた横審でもそのことが重く見られて、両横綱に注意喚起することになり、今場所いかんでは厳しい判断もあり得るという声も出ている──横審と言えば、横綱に引退を勧告することもあり、その発言力は決して軽くはない。てか引退勧告うんぬんが取り沙汰されているという時点で既に、両横綱は自分の進退について真剣な決断を迫られていると言わざるを得ないのではなかろうか? もちろん彼らがあっさり辞めてしまったら番付から横綱が不在となってしまい、3人の大関やその下の若手たちが横綱に昇進するには最低でもまだ数場所はかかるだろうから、それまで彼らに横綱として君臨してて欲しいのはヤマヤマなのだが、身体がその任に耐えられる状態でなくなってるのだったらどうしようもないのだから。けじめとしての引き際も、横綱には肝心である。そのけじめのつけ方で、後世の評価も大きく違ってくるのだから。
 後進の若手が大活躍した秋場所だったが、それが両横綱が不在であったがゆえのものだとしたら、鬼のいぬ間の何とやらってやつであって、決して手放しで喜べるものではないし、せっかくの若手たちの活躍の価値も割り引かれてしまい、彼らの印象にも影響してしまうのだ。やはり、強さを誇り、若手の壁として君臨する横綱の前に善戦して好成績グループの一角に割り込んでこそ、若手の大活躍も輝くわけで、強い横綱の君臨が、結局は若手を引き上げることにもなるわけである。その若手力士の範たる自覚は、今の両横綱には果たしてあるか?
 ともあれ、今場所は間もなく初日を迎える。いつもの九州ではなく今場所も両国国技館で、観客の入場も引き続き制限された中での開催となり、出稽古を制限されてる各力士の調整も決して万全とはいかない中ではあるが、そんな中でも秋場所では若手がかなり頑張っていた。両横綱がそれに奮起しない手はない。ホントに進退をかけて横綱としての責務を全力で全うしてほしい。