先々月くらいから世間を騒がせている、一連の“闇営業”問題にニュースを追っている過程で、僕もこれを知ってびっくりしたのだが──吉本興業のお笑い芸人たちって、吉本とは正式な雇用関係にはないらしい。それどころか契約に当たって書面すら交わしてないらしい。言ってみれば芸人たちはいずれも“個人事業主”であり、吉本からの業務を請け負うという立場なのだそうである──もう15年以上も前に書いたこちらの記事にある軽貨物ドライバーと同じである。当時の記事では「委託請負を開始するに当たり契約書は当然会社と交わしてて締め日と支払日、支払い方法は絶対明記されてるはず」と書いた。しかし吉本と芸人の間にはそれすらもないという。これでは所属してると言えるかどうかも疑問である── 先の記事の軽貨物ドライバーは、あくまで軽貨物運送業者からの業務委託であって、それさえ完璧にこなしていれば、余暇で会社とは別に自ら取ってきた仕事をしても別に咎められないし、また咎める筋合いも会社にはない。もしもそれを契約で謳うのであれば、生活できるだけの収入を保証する責任が生じてしまう。それをせずに専属を強要しては、おそらく法にも反するはずだがそれ以上に人倫に反するだろう。まして契約の書面すら交わしておらず、またギャラが数百円なんて事例が実在するのであればなおのことである。会社から出されるギャラで生活できず、食うために他所で仕事することを咎める資格など法的にも倫理的にもないし、実際所属芸人の飲食店やカラオケ店でのバイトにも事務所は何も言ってる様子はない──芸人が自力で取ってきた仕事で自身の芸を披露して収入を得ることを、しかも食うためにそうせざるを得ない状況に追い込んでる側が咎めるとは一体どういうことか? 個人事業主である芸人にとっては、その営業は闇でも何でもない、単なる営業でありそれ以上でも以下でもない。 ──となると問題は、その“闇”営業先が詐欺集団であり、彼らが被害者から騙し取った金からギャラを受け取ったこと、という一点になるのだろうか…。被害者がいることを考えれば、個々の芸人たちは責任は感じて反省すべきだろうし、社会的には咎められるべきかも知れない。それら反社相手に得た報酬を申告して納税してる様子もなさそうだから、それも含めて刑法的にアウトな部分に関しては償わせる必要もあるかも知れない──しかしそれを咎めたり処罰したりするのは吉本興業ではない。吉本興業は食い詰めた彼らを“闇”営業に追い込んだ側である。どのツラ下げて謹慎処分なんて下してるのよ。 芸人たちにコンプライアンスを何度か説いてきた云々にしても、上述の契約関係を考えれば吉本がそこまでする筋合いはなく芸人の責任で考えさせればいい。そもそもちゃんとした契約関係で管理されてれば闇であろうとなかろうと芸人が自力で営業する必要もないし、その過程でその種の組織と関わりを持つハメにも陥らないわけだから。芸人の待遇を改善することは、結局は吉本興業にとってもプラスになることだと思うぞ──今の形態を変えるつもりはない」と吉本の会長さんは、この期に及んでも豪語してたのだが…。 ──しかし、当事者の大物芸人2人の事務所を通さない記者会見と、それを受けての社長の会見でさらに風向きが大きく変わってしまったようで、吉本興業側への風当たりが一段と強まってしまったようだが…、所属芸人たちが会社側への反発を隠さなくなってきてるのもさることながら、社長と会長がそれぞれ表明した見解も食い違ってしまってるわけで、上層部のツートップの意見が食い違ってしまったことになる。そんな現状で社長の言う“芸人ファースト”とやらは可能なのだろうか? 社の統一方針としてもそうであるが、何より所属芸人たちがついてくるだろうか? とにかく状況が二転三転するので、このニュース、最新情報に追いつくのが大変である── |