小室離れ2・ブームは去ったけど… | ちょいと、戯れ言横丁・テーマトーク館

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春原圭による、よろず文章読み物ブログです。読んでくれた皆様との忌憚ない意見交換を重視したいと考えておりますのでよろしく。









 安室奈美恵が“コギャルのカリスマ”などと言われて彼女のスタイルを真似するコギャルたちが“アムラー”などと呼ばれたのはもう10年以上前だろうか、その後電撃的に結婚し出産、ファッションや音楽だけでなくライフスタイルでも若い女性たちの間でのトレンドリーダーであった彼女だが“コギャルのカリスマ”の座は浜崎あゆみに譲って久しく、母の不慮の死や自身の離婚などプライベートでも不幸な出来事が続き、その間も現在に至るまでコンスタントに歌いつづけてはいるけれど、全盛期のあの社会現象的ブームを考えると、凋落のイメージはぬぐえない──と思っていたら、つい先頃リリースした『60’s 70’s 80’s』がずいぶん久しぶりにオリコンでTOP1にランキングされたらしい。
 全盛期の安室と言えば、言わずと知れた“小室ファミリー”の一員。元夫がメンバーであるTRFにせよ小室が夫妻で加入しているglobeにせよ、レコード大賞に輝くまでの栄華を極めながら、最近ではユニットとしての活動がほとんど表立って話題になることがない状態。華原朋美はついに契約を打ち切られて復帰の見込みが立たない状況だし、こちらで登場した鈴木亜美も、本人の気持ちは別として、観る側からは痛々しいのは事実である──安室も小室哲哉の手を離れて久しく、やはり小室の威光がなければ…、というふうに思ってしまいそうだが──
 でも、ちょっと待てよ。当の小室哲哉自身が音楽家としてもプロデューサーとしても開店休業状態となってる現状を考えれば、安室にせよTRFにせよ、たとえ小室離れしてなくても凋落は免れなかったであろう。現に小室本人が夫婦で参加してるglobeが活動してるのかしてないのかわからない状態だし──むしろ、小室離れして以降も、コギャルのカリスマの座を譲って以降も、完全に忘れ去られることなくちょろちょろとでも音楽活動の様子が聞こえてきてるってことは、これは大いに健闘してると考えていいのでは? 彼女の活動歴が、スーパーモンキーズ時代を含めると15年にもなることを考えれば、これだけ長く活動できてるというのは、やはりすごいことなのである。
 あのアムラー現象のイメージで僕らはどうしても「安室の時代も終わったな…」みたいな感じで捉えがちであるが、コギャルのカリスマとしての時代が終わったことで、かえって音楽に重点を置くことができ、小室離れしたことでかえって自分の思うような路線の方向性を追求することができた、とも言えるのである。実際、安室本人も自分の音楽を追及している今の方が気持ち的には充実しているらしい(その辺は鈴木亜美と同じ)し、流されずにそうやって活動をしていれば、見てくれる人はちゃんと見てくれるのである──今回の新曲のTOP1は、まさにそうした姿勢の勝利なのであろう。
 「安室の時代」なんてものがまた来るかどうかはわからない。しかし、自分の時代なんか別に来なくても(来ればそれはそれでうれしいだろうけど)、自分のやりたい音楽をとことん追求できて、それにいくばくかのファンの支持がついて来るのであれば、アーティストとしてはこの上ない幸せなのではなかろうか。30歳になった(あのコギャルの安室ちゃんがもう三十路だぜ、おい!)安室奈美恵は今、まさにそういう心境なのであろう。